日大アメフトの首謀者は「時間切れ」を狙っているのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
日大アメフト部の炎上が続いている。いまだ誰もが納得するような落としどころが見えてこないが、日大はどのように考えているのか。大学関係者によると「日大は玉虫色のままの時間切れを狙っているのでは?」という声がある。
どこまで真相に踏み込めるのか
5月8日の定期戦で被害にあった関西学院大学の選手サイドは傷害容疑で警察に被害届を提出済み。これを受けて警視庁はすでに日大関係者に聞き取りを開始しており、刑事責任の有無を慎重に判断することにしている。ただ目に余る反則プレーとはいえ、スポーツの中で発生した行為だけに警視庁内部でも「試合中に発生したケースが刑事事件にまで発展した例は極めてまれで、立件は相当に困難ではないか」とする声が飛び交っているという。
加えて日大は第三者委員会を設置して独自調査を行うとしているが、これもどこまで闇の真相に踏み込めるかはかなり怪しい。なぜならば、日大側は明らかに内田氏を守ろうとしているからだ。これまでの経緯を振り返ってみれば、それも一目瞭然だろう。
こうした中で、また動きがあった。内田氏が6月1日、常務理事を辞任したのだ。日大側が同日午後に開かれた理事会の後、ファクスで発表した内容によれば、現在入院中の内田氏から学内外に多大な迷惑をかけたとして同職からの辞任の申し出があり、理事会側もこれを承認したという。
とはいえ、これに対しても「カラクリがある」とうがった見方をする関係者は少なくない。なぜならば理事を辞めても日大・保健体育審議会事務局長、そして人事部長の重責にはまだしがみついており、学内での絶大な権力はまだ保持しているからだ。
体育会すべてを所轄する同事務局でトップの局長というポストに就く内田氏は予算と人事権をいまだに握っている。人事部長の座もまた然りだ。日大を退職したわけではなく、それどころかポジション的にも安泰と言っていい。日大の内情を知る事情通も「常務理事を表向きで辞めても、実質ナンバー2の立場はまったく変わらないだろう」と指摘し、こう続けた。
「ナンバー2の内田さんは強い権限を持っているから誰も逆らえない。日大の大学組織で経営者側にいる人たちは、いい意味でも悪い意味でも内田さんにお世話になった人間が多い。“内田ありき”で成り立っているところが多分にあるから当人がいなくなると困るわけで守るのは当然の流れ。
しかも内田さんは、さまざまな日大の暗部についても知り過ぎている人物。ここで簡単にポイ捨てすれば、暗部を暴露されるなどの手痛いしっぺ返しを食らう可能性も出てくる。日大の組織としては是が非でも避けなければいけない。特に現理事長はそういう思いが強いはず」
現理事長の田中英寿氏は日大のドン。総予算2620億円、年間収入も1800億円といわれる日本最大の学校法人を束ねている超実力者だ。アマチュア相撲出身で日本相撲協会にもコネクションがあり、その絡みで長きに渡って日本オリンピック委員会(JOC)の理事を務め、かつては副会長にも就任していた。スポーツ界はもちろんのこと政財界のトップたちにも顔が利くだけでなく、いざとなれば「危ない筋にも根回しできる豪腕の持ち主」ともっぱらだ。
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