「モナコイン」攻撃のインパクトは 「PoWだけでは限界があるかもしれない」:深刻な問題ではない?
仮想通貨「モナコイン」が海外の仮想通貨交換取引所で攻撃を受けた事件について、ブロックチェーン推進協会(BCCC)がこのほど、報道関係者向けに説明会を開いた。
仮想通貨「モナコイン」が海外の仮想通貨交換取引所で攻撃を受けた事件について、ブロックチェーン推進協会(BCCC)がこのほど、報道関係者向けに説明会を開いた。同協会副代表理事の杉井靖典氏(カレンシーポートCEO)は、ブロックチェーン(分散型取引台帳)が改ざんされたわけではなく、さほど深刻な問題ではないとの見解を示した。
5月13〜15日にかけて、モナコインがロシアの仮想通貨取引所Livecoinで攻撃(Selfish MiningまたはBlock Withholding Attack)を受け、1000万円相当の損失が発生するという事件が起こった。
同事件について、ビットコインなど主要仮想通貨と比べるとモナコインの取引承認作業における難易度が低いにも関わらず、取引所が十分な資産受領確認期間を経ず、取引の承認作業を進めてしまった点に問題があったと杉井氏は指摘する。
承認作業の難易度が低い場合、今回行われた攻撃(Selfish Mining)が起こり得ることは想定されてはいたが、取引所の対策が不十分だったという見方だ。
bitFlyer加納裕三社長がTwitterに「ファイナリティの問題」だったと投稿したのを引き合いに出し、一部メディアで報じられている「ブロックチェーンが改ざんされた」という指摘は誤っていると強調した。
同事件の背景には、ハッシュパワー(演算力)をオークションで売買するマイニングプール事業者が出現した可能性があることが考えられるという。
また、他の主要仮想通貨でのマイニングによる収益性が低下傾向にあるため、モナコインのような“小規模ながら財産的な価値が比較的安定しているコミュニティー”が狙われやすいとした。
今回のケースでは取引を承認するシステムにPoW(Proof of Work/仕事の証明)方式が採用されていたが、杉井氏は個人的な見解として「PoWだけでは限界があるのかもしれない」と指摘する。
根本的な対応策はまだないとするも「PoWとProof of Stake(PoS)など他のアルゴリズムと組み合わせてハイブリットにすることが今後の技術発展のためにも重要となるだろう」と、今後の対応策についての見方を示した。
杉井氏はブロックチェーン技術の研究開発などを行うカレンシーポートを2015年に設立。ブロックチェーンに関する著書も執筆しており、ブロックチェーンに精通していることで知られる。
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