「1次選考は動画」 ジャパネットが中途採用を刷新した理由:学歴や職歴より重視するものとは(1/2 ページ)
通信販売大手のジャパネットグループが中途採用の選考プロセスに応募者の自己紹介動画を採用すると発表した。約1分で応募理由や「最近ワクワクしたこと」などをアピールする必要があるが、なぜ採用方法を刷新したのだろうか。
ジャパネットホールディングス(HD)は6月1日から、ジャパネットグループにおける中途採用の選考プロセスに応募者の自己紹介動画を導入すると発表した。従来の採用プロセスを一新するもので、転職希望者にとっては応募のハードルが上がりそうにみえるが、どんな狙いがあるのだろうか。
1分間で自己アピール
応募者は、まずジャパネットの専用アプリをスマホにダウンロードする。次に、アプリのTOP画面にある「ジャパネットグループ 中途採用エントリー」をタップして、自己紹介の動画を撮影する。応募者は「フルネーム」「応募理由」「最近ワクワクしたこと」の3つを約1分でアピールするが、伝える内容は基本的に自由だ。業務に関連することだけでなく、プライベートなことでも問題ない。動画の登録が終わったら、応募フォームに必要事項を入力して登録完了となる。
採用ページには動画サンプルがある。視聴してみると、メガネをかけた誠実そうな男性が「入社して日本一の旅行サービスの企画をしたい」「最近ワクワクしたことは、子どもとベランダでトマトに水やりをすることです」とアピールをしていた。抑揚のないトーンでたどたどしい話し方をしていることから、必ずしも「元気のよさ」や「流ちょうに話す能力」だけを重視しているわけではないことが伺える。
今回、動画を中途採用の選考プロセスに取り入れた背景について、同社の広報担当者は「応募者の熱意や想いをくみ取りたいからです。特に、当社の姿勢に対する『共感』や『将来の夢』を知りたいと考えています」と説明する。
ジャパネットではこれまで、1次選考では主に書類審査を行っていた。しかし「書類では学歴や職歴は分かるが、気持ちや熱意についてはなかなか伝わってこなかった」(同社広報)。同社のビジネスモデルや理念に強く共感しない人材が書類審査を通ってしまうこともあった。
人事のプロによると、採用面接では「会って数分で勝負が決まる」ことがあるという。話し方や目をみるだけで、応募者の能力や自社にあう人材かどうかがすぐに分かるという意味だ。動画ならば応募者が醸し出す「空気感」が伝わるので、採用のミスマッチを減らす効果も見込める。
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