「1次選考は動画」 ジャパネットが中途採用を刷新した理由:学歴や職歴より重視するものとは(2/2 ページ)
通信販売大手のジャパネットグループが中途採用の選考プロセスに応募者の自己紹介動画を採用すると発表した。約1分で応募理由や「最近ワクワクしたこと」などをアピールする必要があるが、なぜ採用方法を刷新したのだろうか。
応募者の熱意を重視する理由
なぜ、ジャパネットは応募者の「気持ち」や「熱意」を重視するのだろうか。
背景にあるのは「超実力主義」ともいうべき同社の人事制度だ。同社では年齢で役職が自動的に決まらず、「熱意や能力があれば相応のポジションに就ける」(広報担当者)。例えば、20代で課長相当の役職、30代で部長相当の役職に就くこともあるという。
動画を撮影する行為は手間がかかるため、応募のハードルは確実に上がる。しかし、それを乗り越えても挑戦しようという意欲のある人材を採用する狙いがある。
売上高2000億円の壁
創業者である高田明前社長が1990年にラジオショッピングを開始してから、ジャパネットは事業拡大を続けてきた。グループ連結の売上高は1929億円(17年12月期)、従業員数は約2500人にまで増加した。現在、ジャパネットグループは、自社で企画したクルーズ旅行の販売や、エアコンのメンテナンスサービスといった事業の多角化を進めている。主力の通販事業においても、16年にECサイトで扱う商品数を約8500点から約600点に絞ったり、テレビ通販で商品を紹介するMCを約10人に増やしたりするなど、次々と改革を進めている。
ジャパネットはグループ全体で2000億円超の売り上げを達成しようとしている。高田明前社長は「私は30年間、通販の世界を見てきたが、ほとんど(の通販企業は)2000億円を前に(売上高が)とまってしまう"壁"がある」と発言している(出所:17年12月14日付の通販新聞)。高田明前社長から経営を引き継いだ高田旭人社長も、2000億円超という売り上げ目標達成に強い意欲を示している。
成長を続けるためには、「通信販売大手」という現状にあぐらをかくのではなく、積極的に事業を拡大させる熱意を持った人材が欲しい――ジャパネットが動画を採用に取り入れた背景にはそんな狙いもあるのだろう。
関連記事
- 残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長
日本を代表する「プロ経営者」として、さまざまな経営改革を推進してきたカルビーの松本晃会長兼CEO。働き方改革にまつわる日本企業の問題点について、真っ先に「残業手当」を挙げる。 - 社員の働き方を変える実にシンプルな方法 カルビー・松本会長
「プロ経営者」として日本を代表するカルビーの松本晃会長兼CEO。今月末でカルビーの会長職を退任予定の松本氏に、同社での9年間を振り返ってもらうとともに、注力した働き方改革についてインタビューした。 - 「社員を不幸にする」人事の特徴
売り手市場を背景に、求職者の意識は変化している。では人事の意識や質はどう変わっているのだろうか? 「転職バー」の店主に、人事の最前線を聞いた。 - ヨドバシの接客力を支える「すごい教育」
社員の接客レベルや商品知識の深さが評判のヨドバシカメラ。高い接客力を支えているのは社内の教育体制にあった。いったい、どんなことをしているのか? - 3年以内に辞める若手がハマる「やりたいこと」のワナ
人事を悩ませる「3年以内に辞める若手」。空前の売り手市場の中で、人事はますます頭を抱えている。今、人事の最前線で起こっている「やりたいことのワナにハマる若手」問題とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.