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フォーミュラE参戦に見る「仁義なきEV主導権争い」本気の日産 不参戦のトヨタ、ホンダ(4/5 ページ)

「電気のF1」と呼ばれ、電気自動車推進のツールとなっているフォーミュラE。メルセデス、BMW、アウディの「ドイツ御三家」などが参加する一方、日本勢のトヨタ、ホンダは不参加。そこで繰り広げられる「EV主導権争い」の実情とは――。

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日本メーカーや技術者が本腰を入れられない事情

 フォーミュラEが今後、右肩上がりに隆盛するのかを聞くと、赤井氏は「また、それは別」だと否定する。「日本の自動車メーカーの技術力をもってすれば、現行ルール以上の性能を誇るマシンを作ることは容易です」(赤井氏)。一方、EV自体がコモディディ化しやすいこともあり、「エンジニアとしてはモチベーションを上げにくいのは事実でしょう」と分析する。

 また、F1は商談や接待の場にも使われるが、フォーミュラEはF1以上に商業的な色彩が強い。そのせいか、「メーカーもどこか本腰を入れられていない印象も受けます」と、フォーミュラE主催者側の姿勢に疑問を呈した。スイスの大手プライベートバンク「Julius Bear(Julius Bär)」(ジュリアス・ベア銀行)が、フォーミュラEのメイン・スポンサーになっている点についても「彼らはグランプリごとに投資家を呼んで商談を進めていますね」と実情を吐露する。

ルネサスは技術提供 パナソニックはスポンサーに

 では、フォーミュラEに代わる将来性のあるレースがあるかといえば、ないのも事実だ。現在、日系企業では、半導体大手ルネサス エレクトロニクスが、時価総額1兆円を超えるインドの多国籍企業Mahindra & Mahindra(マヒンドラ)と技術提携をし、インド市場向けの技術開発を狙っている。半導体・電子部品の大手ロームも、インバータに使われるシリコンカーハイド(SiC)を、モナコに本拠を置くフランス企業Venturi automobiles(ベンチュリ・オートモービルス)に提供する。

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東京モーターショーの様子(筆者撮影)

 パナソニックに至っては、Jaguar Racing(ジャガー・レーシング)のメインのスポンサーになった。東京モーターショーの約1カ月前に開催された、日本最大のIT見本市「CEATEC JAPAN 2017」でも、パナソニックは電池の宣伝をし、ロームのブースでもフォーミュラEを強く押し出していた。

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CEATEC JAPAN 2017ではEV推進を打ち出す日本企業も多数(筆者撮影)
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Tesla(テスラ)はCEATEC JAPAN 2017には参加したものの、東京モーターショーには不参加(筆者撮影)

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