「会社に行きたくない」 その不調、“男性更年期障害”かもしれない:男性ホルモン減少の原因は……(2/2 ページ)
「毎朝、元気がない」「やる気が出ない」「会社に行きたくない」――。それは、男性ホルモンの減少による「更年期障害」かもしれない。男性社員がホルモンマネジメントに取り組む「ホルモン部」を立ち上げたアンファーの活動から、男性ホルモンを減少させないためのポイントを探った。
男性ホルモン低下は「ストレス」が原因
女性更年期障害の場合、閉経の前後に症状が現れ、それを過ぎると症状は軽減する。一方、男性の場合は社会的な環境の変化やストレスが主な原因。放っておいても症状が改善することはない。
北島さんは「テストステロン値は、中間管理職が多い40代で低く、退職後の60代のほうが高いというデータもあるそうです。1日の中でも、時間帯や状況によって変動します」と話す。そのため、ストレスをためないように心掛けることがポイントの1つ。実際に、冒険心がある人や、人の心をつかむのが上手なリーダータイプなど、ストレスとうまく付き合うことができる人のテストステロン値は高い傾向にあるという。
ホルモン部で主に取り組んでいるのが運動だ。毎朝、出社後にトレーニングを実施している。メニューは、スクワット100回と、上半身を振って腹筋を鍛える運動。あまり運動をしていなかった人が動くことで、睡眠の質を高めることを目的としている。
「1日の中でテストステロン値が高いのは朝。時間がたつにつれて低下していきます。睡眠によってテストステロンが分泌されるため、良質な睡眠を十分にとることが重要です」(北島さん)
また、朝から他の社員とコミュニケーションを取りながら運動する、ということも大きな要素だという。1日の会話量が増えれば、ストレスを軽減する効果が見込める。みんなで一緒に取り組んでいることが、身体的にも精神的にも良い影響を与えている。
食生活の改善にも取り組んでいる。体調を整える野菜や納豆を使った特別メニューを開発。社食でその1品を追加で提供してもらっている。
症状が軽い場合はサプリメントも
テストステロンを増やすためには、生活習慣の改善に加えて、サプリメントや漢方薬も活用できる。17年には、アンファーやファンケルがホルモンマネジメントをサポートするサプリメントを発売している。医療機関での本格的な治療が必要であれば、ホルモン補充療法を受けることもできる。
ホルモン部の活動は、生活習慣の改善を中心としたシンプルなものだが、参加した社員は効果を実感している。「朝の目覚めがよくなった」「仕事のモチベーションも高まった」「夕方まで元気でいられるようになった」といった声があるという。
今後は「社外にも男性ホルモンの大切さを啓蒙していく」(北島さん)。スポーツジムと連携した活動や、アンファー本社がある東京・丸の内の他の企業と一緒に生活習慣の改善を目指す取り組みなどを模索している。
「男性ホルモンの大切さを分かっていない人はまだまだ多い」と北島さんは話す。なんとなく不調が続いているのは、男性ホルモンの減少が原因かもしれない。「年齢のせいだ」と見過ごさずに、生活習慣や周囲の環境を見直してみてはいかがだろうか。
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