キャリア参入まであと1年半の楽天、MVNOの「長期優遇策」強化のワケ:「会員300万人」への仕掛け着々(1/2 ページ)
楽天が、MVNO「楽天モバイル」の長期契約者優遇プランを強化すると発表。キャリア参入があと1年半に迫る中で、この施策を打つ理由とは――。責任者が会見を開き、考えを語った。
楽天は6月14日、MVNO(仮想移動体通信事業者)「楽天モバイル」のプラン「スーパーホーダイ」の料金体系をリニューアルすると発表した。高速通信容量を使い切っても約1Mbpsでデータ通信できるプランを昨年8月から提供しているが、2年以上の長期契約なら月額料金を割り引く「長期割」などを新たに設ける。
楽天モバイルは「最強」
「長期割」は、最低利用期間を1年、2年、3年の中から選択でき、2年を選んだユーザーの月額料金から毎月500円、3年の場合は毎月1000円を割り引く。
このほか、2年間にわたって「楽天会員」の月額料金から500円を割り引く「楽天会員割」、特典の条件を満たした「楽天ダイヤモンド会員」の月額料金を、契約1年目限定でさらに500円割り引く「ダイヤモンド割」も始める。
従来の「スーパーホーダイ」料金体系は、通信容量2GBの「プランS」が2980円(税別、以下同)、6GBの「プランM」が3980円、14GBの「プランL」が5980円だった。今後は、「楽天会員」は月額1480円から、「楽天ダイヤモンド会員」は月額980円から利用できる。
楽天の大尾嘉宏人執行役員は同日開いた発表会で、「楽天モバイルは、まさに“最強”になった。皆さんも、そう思いませんか?」と報道陣に呼び掛けるなど自信を見せた。
「サブブランドよりも便利」
さらに、高速通信を毎月24GBまで利用できる「プランLL」(月額6980円)も新設する。「スーパーホーダイ」とセットになっている通話定額サービスも拡充し、1回当たりの通話時間の上限を7月1日から従来の5分間から10分間に延長する(追加料金は不要)。
大容量プランの新設により、通信容量をS・M・Lの3段階としているソフトバンクとKDDIのサブブランド「Y!mobile」「UQ moblile」との差別化を図る狙いもある。
大尾嘉執行役員は会見で、「Y!mobile」「UQ moblile」との価格やサービス面の差をまとめたボードを掲げ、「(長期契約した場合は)楽天モバイルはサブブランドよりも便利。安くいいサービスを使いたいユーザーを獲得していきたい」と強気の姿勢を見せた。
なぜMVNOの「長期優遇策」を強化?
ただ楽天は、17年12月に携帯電話事業への参入を発表。4月に総務省から第4世代移動通信システム(4G)向け1.7GHz帯を割り当てられ、MNO(移動体通信事業者)として19年10月のサービス開始を予定している。
キャリア参入が1年半後に迫ったこのタイミングで、楽天はなぜMVNOの長期契約者を優遇する施策を展開したのか。同社の三木谷浩史社長は、過去に「ゆくゆくはMVNOユーザーはMNOに乗り換えてもらいたい」という旨の発言をしているが、その場合は長期契約者はどうなるのか。
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