君たちはどうサボるか? 中国の働き方から学ぶ「手抜き」:常見陽平のサラリーマン研究所(1/3 ページ)
『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(西谷格、小学館新書)を読んで、衝撃を受けた。中国でのテキトーな働きぶりが紹介されているわけだが、働きすぎの日本人も学ぶべきところがあるのではないだろうか。それは……。
衝撃的な本と出会ってしまった。『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(著、西谷格/小学館新書)だ。
中国での働き方のリアルが描かれていて、そこはブラックでもホワイトでもなく、“レッドな職場”だった。仕事のルールが日本人の常識を超えている。しかし、人々は実にゆるく、テキトーに働いていた。ここから学ぶべき点があるのではないだろうか。
著者の西谷氏は、新聞記者として働いたあと、フリーライターに。その後、2009年から14年にかけて上海に滞在。その間、現地にて体当たりでアルバイト、婚活などに取り組んだという珍しい経験の持ち主である。
その果敢なチャレンジの様子は、まるでYouTuber(ユーチューバー)のようだ。寿司職人に応募する、反日ドラマに出演する、遊園地でパクリ小人役になってみる、高級ホストクラブで働く、婚活イベントに参加する。「そこまでやるか!?」と思いつつも、ついついのぞき見してしまう。そこには、テキトーに、ゆるく生きる、中国人の姿があったのだった。
本を読んで衝撃を受けたわけだが、それだけでは終わらない。その後、著者の西谷さんと対談を行うことになったのだが、正直、私は本の中身に疑問を感じていた。具体的に書かれてはいるが、「本当なのか?」と思うほどの内容だったからだ。しかし、彼と会ってそれがすべて事実だったことを確認した。彼の実感のこもった話だけでなく、寿司職人風の姿や、遊園地でパクリ小人たちと踊っている姿などを見て、本当だったのだと確信したのだ。
彼は手元のMacBookを広げ、上海時代の写真を見せてくれた。書籍には掲載されなかったモノも含めて、お宝画像がたくさんあった。「ほら、これは私が反日ドラマで日本兵役を演じていたころの写真です。時代考証がめちゃくちゃでしょ?」などとひょうひょうとした説明がいちいち面白かった。西谷さんが扮していた日本兵役は、昔の中国兵とベトナム戦争での兵士が混じったような服装だったのだ。
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