私鉄10社と東京メトロ、「家庭の事情による転居」で辞めた社員を相互受け入れへ:“出戻り”もOK
私鉄10社と東京メトロが、「家庭の事情による転居」で辞めた社員を相互に受け入れる取り組みを開始。施策の名称は「民鉄キャリアトレイン」。業界全体での人材流出を防ぐ狙い。
小田急電鉄、京王電鉄など私鉄10社と東京地下鉄(東京メトロ)は6月15日、家庭の事情などで転居せざるを得ず、就労継続が困難になった社員を相互に受け入れる取り組み「民鉄キャリアトレイン」をスタートした。企業側は人材を即戦力として生かし、社員はライフイベントに左右されずに鉄道会社でのキャリアを継続できる点が主なメリットだ。
参加するのは小田急と京王のほか、近鉄グループホールディングス、京浜急行電鉄、西武鉄道、東京急行電鉄、東武鉄道、名古屋鉄道、西日本鉄道、阪急阪神ホールディングス、東京メトロ。
各社は今後、配偶者の転勤や家族の介護などの理由で退職し、他地域に移り住む社員が増加していくと予測。大きな課題になると考えているという。
今回の施策はこれを解消する狙いで、家庭の事情での転居・退職を申し出た社員を引っ越し先の参加企業に紹介することで、業界全体での人材流出を防いでいく。
入社の可否は、受け入れ企業側が判断する。認可された場合は、転籍、出向など幅広い契約形態で入社できる。いったん転居・転籍した社員が、過去に居住していたエリアに戻ってくる場合は、元の会社への復帰を認める場合もあるという。
各社は今後、この取り組みに関する専用窓口を開設。条件に当てはまる社員が発生した場合は連絡を取り合い、紹介と受け入れを検討していくという。今後は参加企業の拡大も検討する。
参加企業は「優秀な人材の確保が共通の課題となる中、大手民鉄が連携することで、相互のダイバーシティーマネジメントを実現する」とコメントしている。
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