「ハードフォーク訴訟」弁護団が本格始動 フォークコインは誰の物なのか?:コインチェックは争う姿勢(2/2 ページ)
仮想通貨の「ハードフォーク」で生じた仮想通貨を“本来の所有者”(仮想通貨取引者)に取り戻すという「ハードフォーク訴訟弁護団」を大阪市の弁護士事務所が発足させた。
フォークコインは誰の物なのか?
同弁護団は、試験的な取り組みとして仮想通貨取引所のコインチェックを相手取り、今年2月に東京地裁にハードフォークに関する訴訟を起こしている。この訴訟が順調に進行しているとして、訴訟対象を全国の仮想通貨取引所に広げるに至ったという。
コインチェックは昨年12月29日にフォークコインに対する対応指針を発表。その中でフォークコインを利用者に付与する判断基準に、「新コインについて、二重移転を防止する措置が講じられていること」「新コインについて、お客様の資産を侵害する仕組みが講じられていないこと」――などを挙げている。
だが、これらの基準を満たしたのかを判断する具体的な水準などは示されていない。ここに挙げられている条件を満たしていないとし、現在も利用者に付与されず“保留状態”のままになっているフォークコインが今後どうなるかについては、取引所以外分からない状況だ。
コインチェックに同件について取材を申し込んだところ「訴訟等の個別の内容に関しましてお答えを致しておりません」との回答があった。フォークコインの付与については今後のスケジュールは未定と言い、その他の詳細については答えられないとした。
仮想通貨取引所ビットフライヤーにもフォークコイン付与対応について取材を申し込んだが、「社内で協議したところ、今回はお答えできかねる」とした。
中村弁護士によれば、コインチェックは請求権について争う姿勢をみせているという。コインチェック側の主張する法的根拠などはまだ分かっていないというが、「コインチェックの対応には正直驚いている」と語った。
同弁護団は訴訟を通じて利用者に付与すべきフォークコインを取り戻すだけではなく、不整備な状態にある仮想通貨取引におけるルール作りを進め、取引所の説明責任などについても問いただしたい考えだ。
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