インタビュー
ファンケルの「アクティブシニア社員」は会社に何をもたらすのか?:いつまでも働き続けたい(2/4 ページ)
労働人口が減少する日本において、いち早くシニア世代が活躍する場所を作ろうとする企業が出てきている。化粧品と健康食品メーカーのファンケルでは65歳以上の社員が柔軟な勤務体系で働き続けられる「アクティブシニア社員」という制度を打ち出した。そこで活躍する社員に実際の話を聞いた。
若手に伝えたいことは「お客さま視点」という判断軸
年下の上司のもとで働くようになって、やりづらいと感じることはないか? そう聞くと、即座に「それはない」という答えが返ってきた。「私は脳天気なので年齢や立場は気になりません」と笑いつつ、「同じ課長でもそれぞれのスタイルがあるから、その人のやり方でやっていけばいい」と語る。その度量の広さが、さまざまな世代が交じるチームで楽しく働ける秘けつのようだ。
一方、長年の経験を踏まえ、若いメンバーに伝えていきたいこともある。大事にしているのは、「お客さまの視点」だ。
「昔は一つ一つ手を掛けて処理していたものも、今の時代はかなり省力化できるようになっています。10あった工程から3つくらい省いたときに、お客さまの視点で見て結果が同じならいいと思うんですよ。その場合、省いた3つの工程は余分だったということですから。ただ、効率化のために結果が変わってはいけません。そういうことを伝えるようにしています」(桧山さん)
今では逆に若手社員から「この工程はなくても、結果は同じですよね」という意見が出てくるようにもなった。
「若い子たちは、私とは違う目で見ていろいろな提案をしてくれたり、『今の世の中はこうなんです』と教えてくれたりします。そういう情報を吸収できるのも、また楽しいですね」(桧山さん)
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