インタビュー
「シンギュラリティには一生行きつかない」 安川電機・津田会長に聞く「ロボット産業の未来」:「外国人労働者受け入れ」は人手不足解消の解じゃない(3/5 ページ)
ロボットメーカー大手の安川電機会長で、国際ロボット連盟(IFR)の会長でもある津田純嗣氏にロボットの果たすべき役割について聞いた。
コストが合わない介護分野 欧州では「ロボット税」も
――ロボットを介護の領域に使えないか。
介護はロボットの稼働時間が短いのでなかなか難しい。介護で使う場合、1日当たり1時間動けば最長だろう。普通の産業用ロボットが18時間ほど稼働しているのと比べると、介護は稼働時間が圧倒的に少ない。このためロボットを介護分野で使うためにはコストを下げなければならず、費用対効果を考えると無理がある。介護の仕事をアシストするものでやらなければならない分野には参入しているものの、いまは最小限でやっている。海外のように30キロ以上の物は介護に携わる人間が持ってはならないというような規制ができれば別だが。
――IFR会長としての仕事は何か。
ロボットの市場規模調査や需要予測の公表など世界的な統計をとることが主たる仕事だ。ロボットの導入促進に向けた活動もしている。欧米では、もちろん産業界の中にはいないものの、一般的な人々から「ロボットが人の仕事を奪うのでは」という意見が時々出てくる。欧州連合(EU)の議会で、ロボットで失業した労働者への再教育資金確保のために課税する「ロボット税」が、16年にEU議会の議員によって提案された。だが、17年、IFRが動いて廃案にした。ITの普及がロボットの100倍くらい仕事を奪っている一方、ロボットは奪っていない事実を理解してもらいたかった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.