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セブンが「100円生ビール」を中止した、2つの心当たりスピン経済の歩き方(5/6 ページ)

セブン-イレブンの「100円生ビール」が中止になった。本部が中止の判断を下したことを受け、さまざまな憶測が飛び交っているが、筆者の窪田氏は2つの理由が大きいのではないかと見ている。どういうことかというと……。

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想像するだけで身震いするリスク

 みなさんも一度や二度、居酒屋の従業員が酔っ払いにからまれている光景を目にしたことがあるだろう。酔客のなかには、店員に対してとんでもないキレ方、とんでもない言いがかりをつける人が少なくない。そして、時には暴行事件へと発展することもある。

 昨年、ちゃんこ店の経営者が、客から「締めの雑炊の作り方が気に食わない」と2時間あまりボコボコに殴られてそのまま死亡するという衝撃の事件があった。これはあまりに極端なケースだが、「他のお客様の迷惑になりますので、この場所でたばこを吸うのをやめてください」と注意されて、「ああん? お前、お客様に向かってその口の利き方はなんだよ?」と激怒し、暴力を振るう酔客がいないとも限らないのだ。

 このような危険もさることながら、セブン本部として頭が痛いのは、「反撃」に出る店員もいそうなことだ。分かりやすいのが昨年秋、ネットで話題になった「温めますか」「うん」動画だ。

 セブンの店員が、女性客に対して「温めますか」と聞いたところ、「うん」と答えたことが態度が悪いと以下のようにキレている動画が公開され、大きな話題となったのだ。

 「あんたもさあ、うんしか言わないだろ。お願いしますとか言うのが普通だろ、うんつってこっちの態度も悪くなるのが当たり前だろうが!」

 細かい状況は当事者たちしか分からないが、問題はセブンの店員も「人間」であるということだ。酔客から絡まれても、居酒屋のベテラン店長のようにうまくかわす人もいれば、売り言葉に買い言葉で取っ組み合いのケンカに発展してしまう人もいる。

 ビールサーバーやコーヒーメーカーの取り扱いは、全店舗統一のマニュアルで対応できても、この「酔客対応」ばかりは店員個々の「人間性」によって大きくバラつきが出る。

 これは日本全国どこのセブンへ行っても、同じ商品、同じサービス、そして同じ顧客満足を与えることを目的として、マネジメントを行うセブンの本部としては、想像するだけで身震いするリスクなのだ。

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