「チーズは邪道」の声もあったのに、なか卯が24年目にして新作親子丼を販売する理由:“半端ない”チーズの存在感(1/2 ページ)
なか卯が8月2日から新作の親子丼を期間限定で販売する。親子丼は、同店の丼のなかで一番売れている看板商品であり、24年間、基本的な商品設計は変わってこなかった。どうして、今のタイミングでチーズを加えようと考えたのだろうか。商品開発の責任者に話を聞いた。
なか卯は8月2日から親子丼にチーズを加えた「4種チーズの親子丼」を期間限定で販売する。価格は並盛590円(税込、以下同)で、9月下旬に販売終了予定だ。
新作親子丼は、調理中にゴーダチーズ、レッドチェダーチーズ、モッツァレラチーズの3種を加え、丼によそってからパルメザンチーズをかける。別添えのペッパーガーリックで味にアクセントを加えることもできる。
親子丼は1店舗当たり1日100杯以上売れるなか卯の看板商品で、丼物では一番売れている。24年前に誕生してから、ダシやしょうゆに改良を加えたり、鶏肉を増量したりしてきたが基本的な商品設計は変えてこなかった。どうして24年目にしてチーズを加えるという決断をしたのだろうか。商品開発の担当者に話を聞いた。
社内からは「チーズは邪道」の声も
試食会の会場で、実際に新作親子丼を食べてみた。思った以上にチーズの量が多く、まるでピザを食べているような食感だった。「チーズがくどい」と感じるほどではなく、胸やけすることなく完食できたが、別添えのペッパーガーリック以外にアクセントとなるおしんこなどが欲しくなった。
なか卯で商品開発を担当する須田壮一取締役は新作親子丼を販売する背景について「親子丼が2019年に販売開始から25周年を迎えるに当たり、新しい親子丼の可能性を探りたいと考えていた。卵とチーズを組み合わせる案は4年前からあたためてきた」と説明する。区切りのいいタイミングで、看板メニューの親子丼を強化しようという意図があるようだ。
須田氏によると、4年前にチーズ親子丼の構想を社内で発表した際「チーズは邪道だ」「スタンダードな親子丼にこだわるべき」という声もあったという。しかし、近年、チーズタッカルビが大ブームになったことや、チーズフォンデュがかつて流行したことなどから分かる通り、日本人はチーズを好む傾向がある。そこで、「卵とチーズの組み合わせは奇をてらうものではないので、お客さまに受け入れられやすいと判断した」(須田氏)という。
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