最大50%還元! JR西日本「ICOCAポイント」、“大胆策”の理由:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)
JR西日本が平日昼間と土曜・休日に「タイムセール」を始める。京都〜大阪間なら、1カ月間に4回目以降の乗車で最大50%のポイントを還元する、大胆な取り組みだ。JR西日本がこの取り組みをやらねばならない事情とは……?【更新】
JR西日本が平日昼間と土曜・休日に、ICカード乗車券「ICOCA」を使った「タイムセール」を始める。1カ月間に4回目以上の乗車で、区間によっては最大50%のポイントを還元する。大胆な取り組みだが、JR西日本にはこれをやらねばならぬ事情があるのだ。
8月9日に発表したポイント還元サービスの詳細によると、列車の乗車回数やICOCA電子マネーの利用状況に応じてポイントが付与され、そのポイントはICOCAへのチャージによって還元される。1ポイント=1円として利用できる。利用時間が限定されるとはいえ、4回目以降の乗車で30%、あるいは50%も還元される区間がある。また、利用時間帯を限定せず、11回目の利用から10%ポイント還元する制度も始まる。回数券に替わる制度としても注目すべき取り組みだ。
ICOCAの利用推進を目的としたポイントサービスについて、JR西日本は、ほぼ1年前の2017年9月7日に導入を発表していた。発表内容は「18年秋にサービス開始」「ICOCAエリアで導入」「利用登録済みのICOCAで自動改札を利用した場合の利用状況を毎月集計し、その状況によってポイントを付与。そのポイントはICOCAにチャージできる」というものだった。
今回の発表は「10月1日からサービス開始」「ポイント付与条件」などの詳細だ。また、ICOCAポイントの開始に伴って、回数券方式の「昼間特割きっぷ」の廃止と、クレジットカードと連動した「SMART ICOCA」で提供されている「J-WESTポイント」の終了が告知された。つまり、利用者の目線で捉えれば、ICOCAポイントは昼間特割きっぷの代わりになる新しい割引サービスであり、列車の利用200円ごとに1ポイントだったJ-WESTポイントの発展的解消ともいえる。これらの話は後述するとして、まずはICOCAポイントのポイント付与と還元の仕組みを調べてみた。
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