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夏の甲子園に潜む“無限ループ”は「最悪の事態」が起きるまで続くのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

酷暑が続く中、高校野球の熱戦だけでなく、その大会運営に対する議論も白熱している。ただ、これまでの伝統や球児、関係者の思いを考慮すると、大きな変革は望めない。「夏の甲子園」と暑さ対策、“無限ループ”が続いていくだろう。

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球児たちは「絶対に続けてほしい」

 その構図を作り出す大きな要因が、もう1つある。夏の甲子園の開催にイチャモンをつける否定派の多くは、現場の球児たちの意見に耳を傾けていない。もしくは聞こえていないフリをしてスルーしている。なぜならば、聖地出場を目指す球児たちはほぼ10人中10人の割合で夏の甲子園の開催に賛成し、大会継続を訴え続けているからだ。彼らの「是が非でも夏の甲子園は未来永劫(えいごう)、開催し続けてほしい」という訴えに触れると、どうしても自分の主張にとって都合が悪くなってしまうからである。

 「夏の甲子園に出たいという思いで必死になって、毎日地獄のような猛練習を積んでいるのに、なぜその夢の芽を摘むようなマネをするのか」「甲子園は聖地であり、ひのき舞台として長きにわたって高校球児たちに広く浸透している」「急にドーム球場が代替球場となってもシラけるだけだし、たとえ涼しくても絶対に変更してほしくない」「やっぱり真夏の太陽の下で汗を流し、自軍の応援団の声援を受けながら大観衆の中でプレーしたい」――。

 実際に今年の地方予選や甲子園での記念大会で球児たちに夏の甲子園開催の是非を問うと、こうした内容の答えが返ってきた。指導者たちへ無作為に聞いてみても、夏の甲子園に関して開催中止を求める声は皆無で、球場変更やナイター試合の導入、実施時期をずらすなどのマイナーチェンジについても「長い歴史の観点から、現実的に考えてできるわけがない」と大半が消極姿勢だった。

 なかには開催否定派たちに向けて「どうせああでもない、こうでもないと文句をつけているのは高校野球に興味がない人が大半であり、夏の間は常にクーラーをガンガンに効かせた部屋でふんぞり返っているような連中でしょう。ただ無責任に反対、反対と言って注目を集めたいだけじゃないですか。彼らには夢を目指す球児たちの気持ちなんてこれっぽっちも分かっちゃいない」と言葉に怒りをにじませながら激白する強豪校のコーチもいた。

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球児たちは夏の甲子園に出ることを目指して、日々の練習を積んでいる

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