夏の甲子園に潜む“無限ループ”は「最悪の事態」が起きるまで続くのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
酷暑が続く中、高校野球の熱戦だけでなく、その大会運営に対する議論も白熱している。ただ、これまでの伝統や球児、関係者の思いを考慮すると、大きな変革は望めない。「夏の甲子園」と暑さ対策、“無限ループ”が続いていくだろう。
日本人に根付く“ど根性論”が生む矛盾
夏の甲子園は昭和の“ど根性時代”から続いてきた日本の文化のようなものだ。さすがに異常気象のあおりを受ける現在のような酷暑ではなかったにせよ、真夏の暑い日にグラウンドで球児たちに試合をさせることを日本人はつい最近まで美徳としていた。
今となっては「愛のムチ」や「うさぎ跳び」「暑くても水を飲まない」などは非常識であり死語扱いだが、昔の日本ではこれらが部活動における正しいスパルタ教育の一環として世に浸透していたことを考えれば、炎天下で耐えながら球児たちがしのぎを削りあう夏の甲子園こそ、最高の青春の舞台として国民に浸透した流れはうなずける。
そういう根性論がどこかに根付いている国民性なのだから、夏の甲子園を完全に否定することはどうしても難しい。それでも冷静になれる人たちは「わざわざ酷暑の中で野球をプレーするなんて自殺行為」として開催中止か、もしくは大会運営の大幅な改革を求めてシュプレヒコールを上げているが、よく見るとその現状は全国の高校野球支持者と比較すれば明らかに少数派だ。
暑さ対策は何とかしなきゃいけないと思うけど、やっぱりカンカン照りの中で球児たちが汗を流す夏の甲子園は感動的で面白いから今のままで続けてほしい――。こういう矛盾した考えを持ちながら応援している人が今、大勢を占めているはずだ。日本は約100年前、第1回大会が始まった1915年から、夏の甲子園という“無限ループ”にはまり込んでしまっているのだろう。
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