日本上陸から45年で1161店舗 サーティワンのローカライズ戦略が成功したワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
日本に上陸してから45年が過ぎた「サーティワン アイスクリーム」。全国に1100店以上を展開する唯一のアイス専門チェーンに成長したが、強さの秘密は独自のローカライズ戦略にあった。
日本上陸から45周年を迎えた「サーティワン アイスクリーム」は、全国で1161店を展開するまでに成長した(2018年6月末)。スーパーやコンビニでよく見る有名ブランドのアイスクリームはいくつもあるが、全国規模の専門店として成り立っているのはサーティワンのみだ。いかに唯一無二の人気を誇っているかが分かるだろう。
アイスクリーム自体が産業として成長している背景もあり、近年の業績は好調である。運営元のB-R サーティワン アイスクリームが7月に発表した18年1〜6月期の決算(単体)は、総小売売上高218億4200万円(前年比3.4%増)、総来店客数3598万4000人(同4.5%増)、オープンから1年以上経過した既存店売上高も3.2%増となった。
一般社団法人日本アイスクリーム協会によると、17年の日本におけるアイスクリームの市場規模は5114億円。08年の3845億円に比べて、30%以上伸びている。アイスクリームは人口減少で厳しい状況にある食品市場の中で、数少ない成長分野の1つなのだ。さらに、18年は猛暑でもあり、夏場の需要増で通期でも好決算が期待される。
顧客単価は600円超と、アイスクリームにしては高額なのに、サーティワンが日本で愛される理由を解き明かしていきたい。
サーティワン(31)なのに32種類のアイスを売る理由
「バスキン・ロビンス」は米国発祥で世界最大のアイスクリーム・パーラー・チェーンだが、日本ではサーティワンのブランドで展開している。現在、世界40カ国に7300店以上もの店舗数を有している。
サーティワンという名前には、1カ月(31日)毎日違ったアイスクリームが楽しめるという意味が込められており、多数のフレーバーから自由に選べることが大きな売りとなっている。45年前の日本には、約30種類ものアイスクリームを店頭に並べる店はなかった。
年間商品の「スタンダード」21種類、季節商品の「シーズン」11種類の計32種類をベースに営業している。冷蔵庫は長方形なので、奇数の「31」より偶数の「32」のほうが合理的な区画割りができるといった事情もある。
バスキン・ロビンスは、1945年に米カリフォルニア州で創業した。第2次大戦後、バートン・バスキンとアーヴィン・ロビンスという義理の兄弟が別々にアイスクリーム・ショップを経営していたが、53年に合併して、バスキン・ロビンスとなった。ロビンスの父は米ワシントン州でアイスクリーム・ショップを経営していたので、もともとノウハウがあったのだ。60年代には、米国に400店を展開するまでに成長した。
67年にバスキンが亡くなり、同社はユナイテッド・フルーツ(現在は、チキータブランドのバナナで有名)に売却された。その後、何度かの買収を繰り返し、2006年より、ダンキンドーナツと共に米国の3つの投資会社「ベインキャピタル」「カーライル・グループ」「トーマス・H・リー・パートナーズ」で構成される投資連合の下に置かれている。
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