金農旋風を巻き起こした吉田輝星は、どんな投手になるのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
シンデレラボーイの誕生した。夏の甲子園で準優勝を手にした金足農業高校の吉田輝星投手だ。多くのメディアが大きく取り上げているが、彼はどのような投手になるのか。このままスター街道を歩むのか、それとも……。
シンデレラボーイの誕生だ。第100回夏の甲子園で準優勝の金足農業高校(秋田)が大会期間中、日本中に巻き起こした「カナノウ旋風」の余韻はいまだに冷めやらない。
その筆頭はもちろん3年生のエース・吉田輝星だ。聖地のマウンドで6試合881球、大阪桐蔭との決勝戦で5回を終えるまでたった1人で投げ抜いた。最速150キロのストレートに8種類の変化球も兼ね備える高校生離れした右腕は甘いマスクの持ち主でルックスも抜群。決して強豪ではない秋田の公立高校から彗星のごとく現れた18歳の未完の大器をメディアが放っておくはずがない。
今回の第100会大会は本来ならば、史上初の2度目となる春夏連覇を成し遂げた優勝校の大阪桐蔭が主役のはずだ。ところが偉業を成し遂げた大阪桐蔭の面々を差し置く形で金足農ナインが完全に話題を独占している。
特に吉田投手に関する話題は大会終了後から今もメディアで取り上げられない日はない。決勝戦翌日の22日にはTwitterのアカウントを開設。その20時間後にフォロワー数があっと言う間に8万人を突破したものの、その後は投稿が全て削除された。同じ日に地元・秋田へ凱旋した直後には取り囲んだ報道陣から好きなプロ野球球団について質問を受けると「巨人」と即答し、入りたいかとの問いにも「行きたいです」。シンデレラボーイの一挙一動に日本中の視線が注がれ、連日の大騒ぎだ。
さぞ吉田投手は夏の甲子園を戦い終えて自分の人生が大きく変わったと感じているだろう。なにしろ自身の言動がすべてメディアによって大きく取り上げられるのだ。実際、先に挙げたTwitter開設から削除に至るまでの一連の顛末(てんまつ)や、巨人入り熱望の話題に関しても各スポーツ新聞社が即座に食い付いてどこも大きな記事としてスペースを割き、自社のWebサイトでも速報記事ですぐにアップしていた。
都会から遠く離れた秋田に住む野球青年はいきなりスポットライトに照らされる毎日を過ごさなければならなくなったことで今、生まれて初めて味わうカルチャーショックのような感覚にさいなまれているはずだ。
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