心理カウンセラーが教える、相手の心を開く3つの“きく”ルール:相手の心を開く「傾聴力」(5/5 ページ)
「前の会社では営業成績がよかったのに、転職後はイマイチ伸び悩んでいる」といった悩みを抱えているビジネスパーソンも多いのでは。例えば、トーク力に自信があるのに成績が伸び悩んでいる人は、どのように改善すればいいのだろうか。心理カウンセラーに聞いたところ……。
「聞く」を「聴く」、「訊く」にレベルアップ
相手の話を「聞く、聴く」ことで、本当のニーズや悩みを「訊く」ことができる。本当のニーズや悩みを「訊く」ことができれば、おのずとどんな提案をすればいいのか分かるはずだ。冒頭のAさんのように、多くの営業マンは商品を売るには「商品の魅力をうまく話すことが大事」と思っている。確かに、それで通用する場合もあるだろう。
しかし、会社の経営層が相手ではそうは通用しない。愚直に謙虚に一生懸命、相手に寄り添おうとする営業マンの「聞く」姿勢が「感動」を生み、よりよい成果が生まれるだろう。相手が人知れず苦労してきた経営層であればなおさらだ。聞くことよりも話すことのほうが大事と思っている人は意識の転換が必要だ。そして、聞いてもうまくいかないと思っている人は、「聞く」を「聴く」、「訊く」にレベルアップさせることが大切だ。
Aさんもカウンセリングを通して、「聞く」ことの大切さに気付いたのだろう。相手の話を聞くことによって、持ち前の話す力がさらに発揮される善循環に変わっていった。聞く営業スタイルに変えただけで、3カ月後には営業成績が3倍になったと聞いた。そして、半年後には社内でトップになったと聞いた。
いきなり聞く時間を増やすのは難しい。練習が必要だ。これはぜひプライベートの場面で練習してほしい。奥さんや子ども、恋人や友人との会話で、ひたすら相手の話に聞きながら、承認して、共感する。すると、相手から今まで聞いたことがないような話を聞かされるだろう。そして、相手は笑顔になり、あなたを大切にしてくれるようになり、相手との関係がさらによくなっていく。
「売らなくても売れる営業」には、こうした心理的な秘密が隠されている。
著者プロフィール:中島輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
小学4年生のころから双極性障害などの心の病に苦しみ、25歳で実家の借金を背負い込んだことからパニック障害と過呼吸の発作が悪化。その後10年にわたって引きこもるも、その中で独学で心理学やセラピーを習得し自らに実践して35歳で克服。
その後、心理カウンセラーとして現在まで1万人を超えるクライアントに心理カウンセリングを行い、その95%が回復している。現在は、ナチュラル心理学メソッドを使った「自己肯定感を高めるレッスン」、感情の扱い方・心の持ち方・視点の変え方を教える「輝塾」を開催。
主な著書に『負の感情を捨てる方法』(朝日新聞出版)、『堂々と逃げる技術』(学研プラス)などがある。公式Webサイト:旅をする木
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