リーマン・ショックから10年、いまだに回復しないあの業種……:東京商工リサーチが分析
リーマン・ショックから10年経つが、日本企業の全売上高は以前の水準まで回復していない――。東京商工リサーチが企業業績の分析レポートを発表した。
リーマン・ショックから10年経つが、日本企業の全売上高はそれ以前の水準に戻っていない――。企業調査会社の東京商工リサーチが発表したレポートで、この10年間の企業業績の詳細が示された。
同レポートでは、2007年度から2017年度までの期間で単体の業績比較が可能な26万5763社を分析。07年度を100.0とすると、全企業の売上高合計は09年度に84.7まで下落、その後は一度も100.0を回復しておらず、17年度は98.8だった。
全企業の利益合計は08年度に18.1と大幅ダウンしたが、13年度に100.0を回復し、17年度は162.0まで上昇した。
産業別に見ると、売上高(非上場)については、17年度時点で100.0を回復したのは建設業、卸売業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の6産業。最もポイントが高いのは運輸業で110.2だった。
一方で、低迷が目立つのが小売業だ。09年度に66.2まで低下。その後も回復ペースは鈍く、17年度も78.9にとどまる。全期間で一度も100.0を回復していないが、上場小売業はリーマン・ショック後も一貫して100.0を上回っていることから、大手流通チェーンによる寡占化が進んでいることが分かる。製造業は上場・非上場企業ともに全期間で100.0に届かなかった。製造拠点の海外シフトが進み、国内の空洞化が進んでいる可能性があるという。
利益(非上場)に関しては、17年度時点で農・林・漁・鉱業と小売業以外が100.0を超えた。最もポイントが高かったのは建設業で423.4だった。公共投資の増加に加え、震災復興や東京オリンピックの特需が影響した。民需もマンション、オフィスビルなどの活況を背景に、大幅に改善した。売上高と同様、利益でも小売業は落ち込みが大きい。08年度に29.6まで低下し、17年度は74.0と、一度も100.0を回復していない。
地区別の売上高(上場・非上場)は、公共投資の追い風を受けて11年度に北海道、12年度に東北が100.0を回復し、13年度には四国と九州も100.0を超えた。かたや中部と近畿は16年度まで100.0に届かず、関東は現在も100.0を下回ったままである。
利益(上場・非上場)について、リーマン・ショック後に最も落ち込んだのは北海道で、08年度にマイナス82.5を記録した。この年は北洋銀行が保有株式の評価損などで2116億円の当期純損失(単体)を計上した。東北は11年度まで3回、利益合計がマイナスに沈んだが、東日本大震災の復興需要を追い風に、12年度は215.5へ急回復した。13年度以降は9地区すべてが100.0を回復した。
現在、9地区の中で最も好調と言えるのが東北地区だろう。17年度の売上高は9地区で2番目に高い110.2、利益は363.7と、2位の九州(278.4)を大きく引き離している。復興需要によってリーマン・ショックの影響を払しょくした。
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