書評「転職の思考法」 “会社辞めたい”と悩むあなたを救う1冊:「転職=悪」は本当か(1/2 ページ)
「会社に残るべきか・辞めるべきか」で悩むビジネスパーソンは多い。そんな人に勧めたい書籍が「転職の思考法」(ダイヤモンド社)だ。本記事では、その要点を解説する。
「このまま今の会社にいていいのか」「優秀な人から会社を辞めていくが、自分はどうすべきか」――。こんな社会人の悩みに答えるために、人材コンサルティング会社のワンキャリア(東京都渋谷区)で執行役員を務める北野唯我氏が著した書籍が「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」(ダイヤモンド社、税別1400円)だ。
一般的な“転職本”は、経験や事例を基に、識者が読者にアドバイスをする内容のものが多い。だが同書はそうした構成を避け、物語形式を採用。転職を悩む30歳の営業マンである主人公が、凄腕コンサルのアドバイスを受けながら、転職に対する正しい考え方を身に付けていく内容になっており、読み手が感情移入できる点が特徴だ。
主人公が悩んでいるのは「社員の目が死んでおり、金曜日だけを楽しみにしている」という士気の低い社風と、「自社のサービスに自信が持てない」ほどの質の低い商品を売らねばならない仕事内容だ。
上司だけでなく、市場を見て働け
こんな状況下で市場価値を高め、転職市場で求められる人材になるためのコツとして、コンサルは主人公に「上司だけでなく、市場を見て働くべきだ」を指南する。自社のみならず、業界全体で通用するスキルを身に付けておくことが、よりよい環境に移る上では不可欠だという。
伸ばすべきスキルには(1)他社に移籍しても仕事をくれる人脈を指す「人的資産」、(2)レアな経験と専門性を指す「技術資産」――などがあるという。また、こうしたスキルが育っていない人は“場所選び”が重要であり、衰退産業ではなく伸びている業界に身を置くことが市場価値向上につながるという。
「転職=悪」は本当か
作中で主人公はある時、転職を検討していることを社内で漏らしてしまう。そして、先輩から「転職は裏切り者のすることだ」と厳しい批判を受け、仕事を干されるなどの扱いを受ける。
実際のビジネス界でも、転職活動中だと公言するのはタブー。活動はこっそりと行い、次の職場を決めてから周囲に伝えるのが一般的だ。やはりビジネス界では、1つの会社で働き続けることが正しいのだろうか。
この疑問について、本書は「『転職は悪』は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない」「消去法で会社に残っている人間にいい仕事はできない」と断言。「人間は居場所を選ぶ権利があるため、転職は『善』だ」と説いている。
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