「浮いた残業代は社員に還元すべき」 アルプス電気・栗山社長:口先だけの「残業減らせ」は無意味(4/5 ページ)
自動車やスマートフォン向け電子部品を製造販売するアルプス電気が、残業時間削減で浮いた人件費を賞与で社員に還元する制度を2018年夏から実施。その狙いを栗山年弘社長に聞いた。
「リスクがあるからといって利便性を犠牲にしない」
――会社のサーバを個人のスマホにつなぐことによるセキュリティ上のリスクをどう考えるか。
便利なことをしようとすると必ず弊害がある。1つのリスクのために9つのメリットをなくすようでは新しいビジネスは生まれない。使って問題があれば規制すれば良いのだ。これがグローバル企業のやり方だ。トップの方針として、リスクがあるからといって利便性を犠牲にすることはない。
悪意を持って会社の情報を漏えいさせようとする行為は罰しなければならないが、過失については、ある程度は仕方がないと思っている。
日本企業は働き方が欧米と比べて遅れている。多くの日本企業は働いた時間によって給与が決まっているが、欧米は成果で決まる。国際競争力と優秀な人材を伸ばすにはこれが課題だ。
――テレワーク制度を全社に導入した理由は。
月のうち何日間は会社に出社しなくても良いことにしており、特に子育てや介護などで自宅に居なければならない社員に喜ばれている。大卒エンジニアの2割は理系女子(リケジョ)であり、その他の女性社員の割合は高いので、結婚した女性社員にも辞めずに長く働いてもらうためにもテレワーク制度は役立つ制度だと思う。
――当面の売り上げ目標は年間1兆円と聞いているが、達成に向けて自信のほどは。
17年の売り上げが8500億円なので、アルパインと経営統合して、イノベーションが進んでいる自動車関連の新製品を出すなどして、1兆円という目標を達成したい。これまでも自動車とスマホ向けの2つの領域がわが社の原動力になっていたが、スマホはコモデティ化して伸びが止まってきているので、自動車とIoT(モノのインターネット)関連で売り上げを増やしていきたい。
――新しい製品を開発する上で、優秀な人材を確保するために、成果を出した人を特別待遇にするなど、独自の対策は講じているのか。
年功序列の賃金体系は相当前にやめている。かといって例えば中国のAI企業のように20代の社員に1000万円の給与は出したくても出せない。その代わりに、このところはボーナスでこれまで以上に格差をつけるようにしている。
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