タコの値上げに苦しむ銀だこが望みを託す新たな収益の柱とは?:タコの新規調達先も開拓(1/3 ページ)
「築地銀だこ」などを運営するホットランドがタコの仕入れ価格高騰に苦しんでいる。銀だこの主力商品を値上げするなどの対策をとっているが、新しい収益の柱を育てようとしている。
「築地銀だこ」などを運営するホットランドがタコの仕入れ価格高騰に苦しんでいる。2018年1月〜6月期決算(連結)は、売上高が前年同期比5.3%減の152億4900万円、営業利益が同32.9%減の4億2600万円となった。営業利益が落ち込んだ大きな理由は「たこ焼きの原材料であるタコの価格が上昇したため」(広報担当者)だ。たこ焼きの原価に占めるタコの割合は大きく、その影響を大きく受けた。
世界的にタコの価格が高騰
タコの価格はどのくらい高騰しているのだろうか。ホットランドはタコを世界中から調達しており、仕入れ価格は公表していないが、築地市場における冷凍タコの卸売価格が参考になる。
東京都中央卸売市場の市場統計情報によると、タコ1キロ当たりの価格(過去5年平均)は約900円だった。しかし、17年後半には1000円を突破し、18年6月には1518円まで上昇した。ホットランドは年間3000トン以上のタコを調達しているため、値上げの影響を大きく受けてしまっているのだ。
タコの価格高騰の原因についてホットランドの広報担当者は「世界中でタコの需要が高まったことと、漁獲高の変動に影響されたため」と説明する。タコは豊漁と不漁を繰り返し、そのたびに価格が変動する傾向があるが、近年は価格が底上げされている。今後、タコの価格が大きく下がる見通しはないという。
タコの価格高騰だけでなく、物流費や人件費などのコスト増を受けて、ホットランドは18年7月に築地銀だこの主力商品を値上げしている。例えば、「たこ焼 8個入」を550円(税込、以下同)から580円に値上げした。
タコの新規調達に挑む
ホットランドは現在、モロッコ、南アフリカ、中国、東南アジア諸国、メキシコ、チリなど、世界中からタコを調達しているが、値上げの影響をなるべく少なくするため、さらに新規エリアの開拓を進めている。
また、タコの養殖活動にも取り組んでいる。広報担当者によると、現在、タコの完全養殖は産業化されていないという。そこで、大学や養殖業者などと情報・技術共有を進めている。
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