連載
「生産性」に潜む“排除”の論理 新潮45事件の薄気味悪さ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/6 ページ)
『新潮45』に掲載された杉田水脈衆議院議員のLGBTに関する寄稿から始まった炎上事件は、同誌の休刊が発表される事態に。杉田氏の主張にある「生産性」は、社会に潜んでいる“ある価値観”を表面化させた。それは……
『新潮45』の特集記事が大炎上した事件は、同誌の休刊を公式サイトで発表する事態になりました。
9月21日に発行元の新潮社が佐藤隆信社長の名前でコメントを発表。「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」と批判を受け止める姿勢は見せたものの、具体性はなく、謝罪でもなし。一向に消えない炎に「休刊」という形で後始末をつけた格好です。
部数が伸び悩んでいたことが原因、とのコメントに、燃え上がった炎は鎮火。いや、「鎮火したように見える」だけ。社会の片隅で火はくすぶり続けています。
なぜなら、自民党の杉田水脈衆議院議員の寄稿「『LGBT』支援の度が過ぎる」から始まった今回の一連の事件は、「LGBTの問題であって、LGBTだけの問題ではない」。社会に「リトル杉田」なるものが脈々と潜んでいることを表面化させた、実に薄気味悪い事件だからです。
杉田氏が使った「生産性」という言葉は、私たちの日常にあふれています。でも、生産性って何なのでしょう? 生産性とはどんな価値を持っているのでしょうか? 生産性と差別は、どんな関係にあるのでしょうか?
というわけで、今回は「生産性」をテーマに考えてみます。
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