業界3位に躍進した「日乃屋カレー」 リピーターを生む味の原点は“昭和の町中華”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
2011年に創業した日乃屋カレーが店舗数を増やし、業界3位に躍進した。家庭的な“ジャパニーズカレー”で、甘辛い味が特徴。急成長の秘密とは?
2013年に開催された神田カレーグランプリで優勝したのをきっかけに、東京都内で成長を続ける「日乃屋カレー」。店舗数は54店(18年10月時点)で、「CoCo壱番屋」、「ゴーゴーカレー」に次ぐ業界3位に躍進し、日本を代表するカレーショップに駆け昇ろうとしている。
18年8月にオープンした播磨店(兵庫県加古郡播磨町)により、関西にも進出を果たした。東北には盛岡櫻山店(岩手県盛岡市)があり、全国展開への布石を着々と打っている。
昔懐かしい“日本のカレー”を提供しているが、「始まり甘く 後より辛い 余韻残りし カレールウ」のモットーを店頭に掲げる。最初は甘く感じるが、辛さが後から伝わってくる、甘辛風味が特徴だ。家庭的な少しどろっとしたカレーだが、ファンにしてみれば飽きない魅力があって、リピート率が高い。
看板商品は、注文を受けてから揚げるトンカツをトッピングした「名物カツカレー」(840円、税込、以下同)で、ビジネスマンに人気が高い。
日乃屋カレーは、10円でも値上げすれば客離れが起きかねない牛丼、セルフうどん・そば、ハンバーガーのチェーンのようにワンコインで食べられるわけでもないのに、なぜこんなにも支持されているのだろうか。その謎を解明していきたい。
創業者の両親は“昭和の町中華”を経営
1号店の湯島本店(東京都文京区)は、11年7月にオープンした。12年1月には早くも神田(東京都千代田区)に2号店を出店しており、創業時より経営は順調だ。日乃屋カレーを運営しているのは、ノアランド(東京都文京区)である。
原点は日浦大社長の両親が大阪で経営していた中華料理店。ラーメン、餃子、定食だけでなくカレーライスも提供する“昭和の町中華”だ。
日浦社長は1979年に生まれた。幼児期は東京で暮らしていたが、小学生の頃から20歳までを大阪で過ごしている。10代後半の時はヒップホップが流行っていたこともありダンスに打ち込んだ。しかし、ダンスがとても上手な先輩が自動販売機に飲料を充填する仕事をしているのを偶然目撃し、生計を立てるのが困難な現実を思い知った。
関連記事
- 「5」への強いこだわりで急成長 ゴーゴーカレーの巧妙な戦略
2004年に1号店をオープンさせてからカレー専門店として国内2位の地位に躍り出たゴーゴーカレー。急成長した背景にあったのは、考え抜かれたビジネスモデルだけでなく、松井秀喜選手や「5」への強いこだわりがあった。 - 急成長する「伝説のすた丼屋」 模倣を難しくしている独自の調理法と秘伝のタレ
ボリューム満点の「すた丼」を提供する「伝説のすた丼屋」が急成長している。かつては学生街を中心に出店していたが、商業施設内やロードサイドにも進出するようになった。すた丼は見た目が豪快だが味は繊細で、模倣が難しい料理だ。独自のビジネスモデルとすた丼の調理方法に迫る。 - 行列ができるまでに復活! 「東京チカラめし」の反転攻勢
かつて急成長したが、失速するのも早かった東京チカラめし。現在は全10店を営業するにとどまるが、実は店舗に行列ができるまでに“復活”しているという。再成長できるかどうか、検証する。 - 「大阪王将」に後れを取っていた「餃子の王将」の業績が復活したワケ
「餃子の王将」を運営する王将フードサービスが復活しつつある。女性向けの新業態店や安価で量を減らしたメニュー開発が奏功したが、本質的な理由はほかにもあるという。どのような戦略を打ち出しているのだろうか。 - 東京で「フードトラック」が、どんどん増えている秘密
平日の昼。毎日同じようなモノを食べていて、飽きているビジネスパーソンも多いのでは。そんなランチ難民とも言える人を救うかもしれないサービスが登場している。フードトラックと空きスペースがあるオフィスビルをマッチングさせるサービスで、そこで提供されるランチを利用する人が増えているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.