業界3位に躍進した「日乃屋カレー」 リピーターを生む味の原点は“昭和の町中華”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
2011年に創業した日乃屋カレーが店舗数を増やし、業界3位に躍進した。家庭的な“ジャパニーズカレー”で、甘辛い味が特徴。急成長の秘密とは?
家庭でつくれそうでもつくれない味
日乃屋カレーで提供するカレーは、家庭的な“ジャパニーズカレー”だが、家庭で入れる具材の定番であるジャガイモとニンジンは入っていない。タマネギとニンニクをベースにした野菜の風味に、日浦社長しか知らないという秘伝のスパイスを加えてつくる。牛のバラ肉が細かく刻まれて入っているのもユニークだ。家でつくれそうでもつくれない、絶妙なさじ加減のカレーになっている。
セントラルキッチンでカレーをつくって店で温めて出すのではなく、各店で一から毎日仕込むのが日乃屋カレーの流儀。カツも店で仕込んでおり、揚げたてを提供することを徹底している。カツを揚げる時間がかかるのでクイックでは出せないが、常にできたての鮮度にこだわる手づくり感が人気を呼んでいる。
持ち帰りだと女性が主流
看板商品は「名物カツカレー」だが、「名代上メンチカツカレー」(840円)がヒット商品に育った。女性には「チーズカレー」(730円)が売れる。ライスの大盛は無料だ。
ライスは普通盛でも300グラムとかなりのボリュームがあり、大盛は360グラムとなっている。カツも揚げたてのうえに厚み十分のジューシーな仕上がりで、800円前後の値段でもコストパフォーマンスは良いと顧客に考えられているようだ。ご飯は七分盛り(210グラム)が可能で、100円安くなる。
顧客の男女比は店によって異なるが、平均すれば7:3くらいである。渋谷の店舗では女性の比率が4割になり、持ち帰りだと女性がむしろ主流になる。
日乃屋カレーは顧客の声を聞きながら、1年単位で商品の改良を進めており、より満足度が高いものを提供しようと努力している。日浦社長はジャンルを問わずに評判のレストランを食べ歩いて研究を重ねているそうだ。
関連記事
- 「5」への強いこだわりで急成長 ゴーゴーカレーの巧妙な戦略
2004年に1号店をオープンさせてからカレー専門店として国内2位の地位に躍り出たゴーゴーカレー。急成長した背景にあったのは、考え抜かれたビジネスモデルだけでなく、松井秀喜選手や「5」への強いこだわりがあった。 - 急成長する「伝説のすた丼屋」 模倣を難しくしている独自の調理法と秘伝のタレ
ボリューム満点の「すた丼」を提供する「伝説のすた丼屋」が急成長している。かつては学生街を中心に出店していたが、商業施設内やロードサイドにも進出するようになった。すた丼は見た目が豪快だが味は繊細で、模倣が難しい料理だ。独自のビジネスモデルとすた丼の調理方法に迫る。 - 行列ができるまでに復活! 「東京チカラめし」の反転攻勢
かつて急成長したが、失速するのも早かった東京チカラめし。現在は全10店を営業するにとどまるが、実は店舗に行列ができるまでに“復活”しているという。再成長できるかどうか、検証する。 - 「大阪王将」に後れを取っていた「餃子の王将」の業績が復活したワケ
「餃子の王将」を運営する王将フードサービスが復活しつつある。女性向けの新業態店や安価で量を減らしたメニュー開発が奏功したが、本質的な理由はほかにもあるという。どのような戦略を打ち出しているのだろうか。 - 東京で「フードトラック」が、どんどん増えている秘密
平日の昼。毎日同じようなモノを食べていて、飽きているビジネスパーソンも多いのでは。そんなランチ難民とも言える人を救うかもしれないサービスが登場している。フードトラックと空きスペースがあるオフィスビルをマッチングさせるサービスで、そこで提供されるランチを利用する人が増えているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.