求人情報がLINEで届く「LINEキャリア」始動 狙うユーザーは“窓際族”?:LINE×エン・ジャパン
LINEとエン・ジャパンの合弁会社LENSAが始動。LINEを使った転職求人情報の配信サービス「LINEキャリア」を始めた。トークを活用した面接対策の配信や、面接日のリマインド配信などにも対応する。
LINEとエン・ジャパンの合弁会社LENSA(東京都新宿区)は10月22日、コミュニケーションアプリ「LINE」を活用した転職求人情報の配信サービス「LINEキャリア」を始めた。公式アカウントを「友だち」に追加し、簡単な質問に答えると、ユーザーのニーズに応じた求人情報をトークルーム上に配信する仕組み。トークを活用した面接対策の配信や、面接日のリマインド配信などにも対応する。
質問内容は、転職興味度、転職理由、希望年収、希望職種、希望勤務地の5項目。回答後はすぐにニーズを反映した求人情報を配信する。ユーザーは求人情報をタップすることで、詳細情報と口コミの閲覧や、応募フォームへのアクセス、面接日程の調整などが可能だ。
一般的な転職サービスとは異なり、LINEユーザーであれば、追加アプリのインストールや新規会員登録なしで利用できる。公式アカウントのほか、LINEの「Wallet Tab」のメニューや、ブラウザ版からでも求人情報の検索と応募ができる。
LINEキャリアが配信する求人情報は、エン・ジャパンの求人サービス「エン転職」から提供される。現時点での掲載数は5260件で、アマゾンジャパン、ヤフー、パナソニックといった大手企業の案件も含まれる。LENSAは、LINEキャリア経由で応募があった場合に手数料収入を得る。
狙うユーザーは“窓際族”?
主なターゲットは転職活動中の人だけでなく、現職で活躍できていなかったり、不満があったりするものの、行動に移していない潜在層。通勤中や昼休み、就寝前といった空き時間の利用を想定する。
月間7600万人のMAU(月間アクティブユーザー数)を抱え、日常生活に欠かせないインフラとなっているLINEから求人情報を届けることで、転職の需要を喚起していく。メールでのやりとりとは異なり、連絡を見落とすリスクが低いのもLINEならではのメリットだ。
LENSAの寺田輝之社長は「企業に在籍していながら、仕事を失っている状態の“企業内失業者”が465万人いるとの試算がある。こうした人たちは、昔は“窓際族”と呼ばれ、中年以上のイメージがあったが、近年は20〜30代の若手にまで広がっている。リーマンショックなどで、若手を育成できる人が社外に流出したことが原因だ」と説明。
「本来活躍すべき人が活躍できていないことは、本人にも企業にも良くない。そこでLINEキャリアは、既存のサービスがカバーしてきた領域だけでなく、企業内失業者にも(対象を)広げる。日常的に使えるLINEだからこそ、転職を考える機会を提供できる」と狙いを説明した。
LENSAは今後、LINEキャリアとエン・ジャパンの転職サービス「engage」を連携させて求人情報の拡充を図るほか、トーク画面の質問に答えるだけで履歴書を作成できる機能や、企業の担当者と応募者が直接やりとりできる機能も実装し、利便性をさらに高める予定だ。
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