8割超の企業が18年度の新卒採用に「苦戦」 来年はどんな工夫が必要?:内定辞退相次ぐ
86.3%の企業が18年度の新卒採用に「厳しい」との印象を抱いていることが判明。内定辞退者が相次いだことが響いたという。今後はコスト増やインターン強化に取り組む企業が多かった。
2018年10月の時点で、86.3%の企業が18年度の新卒採用に「厳しい」との印象を抱いている――。人材サービス「キャリタス就活」を展開するディスコの調査でこんな事実が分かった。日本経済団体連合会(経団連)の指針では、正式内定を出せる時期は10月1日以降と定められているが、10月現在で採用活動を終えた企業は56.3%、内定充足率は77.9%にとどまっていた。
その要因については、40.3%の企業が「内定辞退が増えた」と回答しており、学生の確保が困難になっている現状がうかがえた。ディスコは「内定辞退は6月に集中しているが、5月にもやや多い。選考解禁を待たずに内定を出した企業が増え、学生の意思決定時期が早まったのだろう」とみている。
最終的に残った内定者の質・量に「満足している」と答えた企業は27.0%。質に不満を持つ企業は19.0%、量に不満を持つ企業は31.4%、両方が不満だと答えた企業は22.6%だった。
不満を抱える企業の担当者からは「評価が高かった学生の辞退が相次ぎ、現在の内定者はセカンドベストといったところ」「(人員確保のため)8月から2次募集を行ったが、(応募者は)春からの選考が全滅していた学生ばかりで、まったくいい人材がいなかった」と悩む声が出た。
一方、量・質に満足している企業からは「採用のコストを増やしたので18年卒より良い学生に出会えた」「インターンシップからの取り組みで志望度の高い学生が内定者になり、辞退率の低下につながった」との意見が出た。
19年度はどんな工夫が必要?
18年度の反省を踏まえ、学生の質・量を高めるために「19年度は採用コストを増やす見込み」と答えた企業は32.5%。「減らす見込み」は11.8%、「変わらない」は55.7%だった。
コスト面以外に、20年度の採用で注力したいことは「インターンシップの見直し」が60.9%でトップ。以下「大学との関係強化」(53.8%)、「採用広報解禁前の活動」(50.1%)、「内定者フォロー」(46.8%)、「Webサイトやパンフレットの作成」(37.7%)、「選考日程の見直し」(33.4%)と続いた。
担当者からは「単に総合職として採用するのではなく、重視する能力や適性を絞り込み、本当に必要な能力を備えた人材を採用したい」「内定辞退が増えているため、内定者のフォローはもちろん、選考フローも見直したい」「魅力を伝えられる面接官の育成が不可欠」などの声が挙がった。
調査は18年9月26日〜10月5日にかけてインターネット上で実施し、1302社から回答を得た。
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