ウェンディーズ×ファーストキッチン イマイチだった両者のコラボ店が人気の理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
「ファーストキッチン」と「ウェンディーズ」がコラボした業態が売り上げを伸ばしている。2015年から始めたこの取り組みは成功を重ね、わずか3年で40店も増えた。快進撃の秘密を探る。
「ファーストキッチン」と「ウェンディーズ」がコラボした、「ファーストキッチン・ウェンディーズ」という、ダブルブランドのユニークなハンバーガーチェーンが店舗数を急増させている。東京を中心に「ファーストキッチン」の業態転換を進め、40店にまで増えた(2018年9月末時点)。
ハンバーガー業界のみならず、外食全体でもほとんど類を見ないこの同業種コラボの1号店が誕生したのは、15年3月。六本木交差点近くにある「ファーストキッチン 六本木店」(東京・港)を業態転換した。同店の売り上げが転換前の1.5倍となり、両チェーンはコラボ効果を確信。同年8月には、上野浅草口店をオープンし、この店でも成果を上げた。この試みは次々と成功を重ね、わずか3年で40店に増えた。こういったハンバーガーチェーンは他に存在しない。ニューヨークから上陸して話題をさらった「シェイクシャック」、ロサンゼルスから上陸した「ウマミバーガー」など、ポストマクドナルドといわれる新興のグルメハンバーガーチェーンをはるかに上回る成長を遂げている。
パッとしなかったチェーンが組んだら急成長
この快進撃の背景には何があるのだろうか。16年6月にウェンディーズの日本法人「ウェンディーズ・ジャパン」が、サントリーホールディングスよりファーストキッチンを買収。立地を選びながら、全国に130店ほどあるファーストキッチンの店舗を業態転換してきた。転換した店で失敗例は皆無とのことだ。想定する顧客単価はランチが800円、ディナーが1200円となっている。
ウェンディーズは11年12月、表参道に再上陸1号店をオープンしたものの、期待されたわりには店舗数が伸びず、表参道店から撤退。ついには新宿区曙町に直営店を1店構えるのみという寂しい状況に追い込まれていた。
一方のファーストキッチンも、業界で4〜5位あたりの地位を確保していたものの、伸び悩んでいるという印象を拭えなかった。同規模のチェーンで新商品の企画力に勝る「フレッシュネスバーガー」に押されつつあり、存在感も薄れていた。
では、パッとしなかったウェンディーズと、パッとしなかったファーストキッチンが組んだら、どうして急成長を遂げるチェーンになったのか。その謎に迫ってみたい。
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