19年卒の学生、「内定先に入社したくない」人が増加 口コミなど見て不安に:「いまの就活ルールで困らない」は7割
19年卒の学生の10月1日時点での内定率は94.0%。だが、内定先に入社したくないという人が増えていた。社内報の送付や通信教育は入社意欲の向上につながらず、口コミなどを見て不安になる人がいることも分かった。
10月1日時点での大学生・大学院生(2019年卒)の就職内定率は、前年同月比1.9ポイント増の94.0%であることがリクルートキャリアの調査で分かった。だが、内定先に「入社したい」と考えている人は14.2ポイント減の55.3%、「入社したくない」人は15.9ポイント増の19.6%となり、入社の意思が弱い学生が増えていることがうかがえた。
同日時点での内定辞退率は65.0%だった。企業側は内定辞退を防ぐため、さまざまなフォローを行っているが、経験した人の過半数が「入社意欲が高まった」と答えた施策は「内定者懇親会」(57.2%)、「社員との交流会」(52.9%)、「内定式」(51.1%)の3種にとどまった。
一方、「社内報・内定者報の送付」(25.1%)、「メール・電話による定期連絡」(18.8%)、「通信教育の実施」(18.5%)、「SNSなど、ネット上でコミュニティーを作る」(16.0%)などが入社意欲の向上につながった人は比較的少なかった。
就職先を決めた人のうち、入社に対して不安がある人は68.7%。「口コミなどを見ていると給与が低く不安」「配属先がまだ決まっていないので、具体的に働くことが想像できない」「内定者懇親会で同期に会ったが、同期になじめそうになかった」との意見が出た。
また、就職先で定年まで働きたい人は43.6%、そうでない人は23.1%だった。働き続けたい人は「日本では転職して成功する例が少ない」「転職活動をする時間がもったいない」「この仕事がやりたくて入った」と考えていたが、そうでない人は「やりたいことがあるからキャリアアップしたい」「ゆくゆくは地方でのんびりしたい」との意見を持っていた。
「いまの採用スケジュールで困らない」は7割
経済団体連合会(経団連)は10月上旬、就職活動の日程を決める「採用選考に関する指針」を撤廃し、21年度以降に新卒入社する学生の就職活動にルールを設けない旨を発表。その是非について議論を呼んでいる。
だが、19年卒の学生のうち「現行の採用スケジュールによって困ったことがある」と答えた人は30.3%にとどまり、「困ったことはない」という人が69.7%を占めた。
困った経験がある人からは「薬学部のため、実習によって選考が受けられないケースがあった」「就活と教育実習の時期が重なり、実習を諦めた」「授業と重なった」など、学業との両立に苦労したとの声があった。
調査は10月1〜9日にかけて、新卒採用サービス「リクナビ2019」のユーザーから募集したモニターを対象にインターネット上で実施。大学生1269人、大学院生579人から回答を得た。
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