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後継者不足で廃業する飲食店に「待った」 ゴーゴーカレーが事業承継に意欲:おいしいカレーを守る(2/2 ページ)
カレー専門店チェーンを運営するゴーゴーカレーグループがM&Aに注力。2017年に金沢市の老舗インド料理店「ホットハウス」の事業を引き継いだのを皮切りに、全国の飲食店に対しても事業承継を呼び掛けていく。
M&Aによる効果は早くも出ている。ゴーゴーカレーのスケールメリットを生かして、ホットハウスで使う原材料の調達コストや光熱費などが削減されたほか、18年12月には横浜市内の商業施設「トレッサ横浜」に新店舗をオープンする。19年8月には秋葉原で出店を予定し、将来的にはインド進出も視野に入れている。
実はかつてのホットハウスのように後継者がいなくて廃業に追い込まれる会社は増えている。東京商工リサーチによると、企業の休廃業・解散は16年に過去最高の2万9583件を記録した。また、帝国データバンクなどの調べでは、25年に約245万人の経営者が70歳以上となる一方で、日本の全企業の約3割に当たる127万社が後継者未定だという。とりわけ地方にこの傾向が強い。
「飲食店のような小さな会社の社長には定年がないので、例えば病気になってリタイアする前に、誰かが背中を押してあげる必要がある」と宮森氏は強調する。
事業承継先というと、一般的には子や兄弟といった親族を対象に考える経営者が多い。五十嵐氏は「廃業せずにブランドを残したいのであれば、親族だけではなく第三者でもいい。あまりこだわるべきではないのでは」と話した。
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