日本和装、元社長が1億円超を私的流用 ロールスロイスの維持費・引っ越し代に使用:クルーザーの維持費も(1/3 ページ)
日本和装HDの吉田重久代表取締役が、同社の資金を私的に流用していたことが判明。合計金額は1億円超。私物のクルーザー船の維持費、私物のロールスロイスの維持費、私宅の転居代金と賃料などに使用していた。
着付け教室を展開する日本和装ホールディングス(HD、東証2部)はこのほど、2018年7月に東証1部への指定替え申請を「内部管理体制の見直しが必要」との理由で取り下げた件について、体制不備の詳細を明らかにした。社長兼会長の吉田重久氏が、私物のクルーザー船やロールスロイスの維持費、私宅の転居代金など計約1億1000万円を同社の資金から拠出していたという(肩書は当時、以下同)。
また、道面義雄副社長と菅野泰弘取締役の転居代金などを日本和装HDが負担していたことも判明。さらに、吉田社長や親族が一定数の株式を持つ企業と取引する際に、同社が多額の接待交際費などを負担していたことも明らかになった。
同社と利害関係のない弁護士と社外取締役からなる特別調査委員会の調べによって発覚した。吉田社長は返還を求められた約6000万円を返金しているため、調査委は今後、関係者と関係企業に金銭の返還を求める方針。
クルーザー船の維持費は約2300万円
吉田社長のクルーザーを巡っては、日本和装HDは14年12月期〜18年12月期にかけて、維持費や係留料として計2312万2652円を負担していた。経費申請に当たっての稟議書には、事前に吉田社長と、菅野取締役ら常務取締役の押印などがあった。また、決裁後に常務監査役、内部監査室が押印していた。
同クルーザーが吉田社長の私物であることを菅野取締役、常勤役員、内部監査室長は知っていたが、「社員の懇親会や顧客の接待・交際で(船を)使用していたため、関連当事者取引・利益相反取引だと認識することはなかった」という。
吉田社長の役員報酬がピーク時の4割程度に落ち込んだ時期に、菅野取締役が「会社で負担しましょうか」と持ち掛けたという。
ロールスロイスの維持費は約180万円
同じくロールスロイスを巡っては、同社は16年12月期〜18年12月期にかけて、維持費・自動車税・保険料として計181万3378円を負担。決裁の流れなどはクルーザー船と同じであり、私物であることを関係者は認識していた。
車両を業務目的で使用していたため、不適切だとの認識はなく、菅野取締役から会社負担を提案したという。
関連記事
- 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。 - 「かっぱ寿司」前社長、スピード辞任の理由は「過去のコンプラ違反」
関係者が、カッパ・クリエイト前社長がスピード辞任した理由を明かした。カッパ以前に在籍していた企業でコンプライアンス違反があったためという。後任には、アトムの小澤俊治社長が就くことが内定しているという。 - 厚労省“ブラック企業リスト”更新 元社長が裁判中「はれのひ」追加 賃金510万円未払い
厚生労働省が“ブラック企業リスト”を更新。1月に振り袖関連のトラブルを起こした「はれのひ」がリスト入りした。労働者27人に対して約510万円の賃金を支払っていなかった。 - トヨタ、「ノア」など約30万台リコール タカタ製エアバッグ問題で新たに届け出
トヨタは、タカタ製エアバッグの欠陥などによって、「ノア」など約30万台をリコール。 - シリアから解放の安田氏に問われる、ジャーナリストとしての“2つの姿勢”
シリアで武装組織に拘束されていた日本人ジャーナリストが解放された。世界的なベテランジャーナリストに見解を聞くと、ジャーナリストとしての「姿勢」について指摘していた。安田氏に欠けていた姿勢とは? - 「値下げはすでに終えている」――KDDI高橋社長、ドコモに追随した料金変更を否定
KDDIの高橋誠社長が決算会見に登壇。前日にNTTドコモの吉澤社長が値下げを発表したことに触れ「当社は値下げをすでに終えた」と強調した。端末代金の補助などが含まれていない「auピタットプラン」「auフラットプラン」が値下げした料金体系に当たるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.