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サイバーエージェントにDMMも 大手ITが新卒の一律初任給を止める理由激変の新卒採用サバイバル(1/3 ページ)

企業による新卒の一律初任給廃止が広がっている。サイバーエージェントやDMMなどが導入。能力に応じた金額を提示して優秀なエンジニアを呼び込むためだ。

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〜企業も学生も変われるか 新卒採用の最前線を追う〜:

 揺れ動く新卒学生の就活。企業の採用活動時期を定めた「就活ルール」については、経団連が2021年春入社の学生から廃止を表明するなど二転三転が続いている。ただ、現場では既に従来の採用の在り方が変わりつつある。ビジネスモデルの急激な変化や働き方改革で、求められる職場や人材像が変容しているからだ。新卒就活の岐路ともいえるこの時代、試行錯誤する企業や学生を追った。


 新入社員の時、もらった初任給は同期と変わらず一律の額だった人は多いのではないだろうか。日本企業で新卒は基本的に即戦力というより、育成期間中と扱われてきたからだ。しかし最近、大手ITのエンジニア職を中心にこの常識が崩れつつある。サイバーエージェント、DMM.com、メルカリなどが相次ぎ新卒の一律給与を廃止している。

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新卒の一律初任給を廃止する企業が増加。新入社員には朗報?不安?(写真はイメージ。提供:ゲッティイメージズ)

 入社時から人事評価や給与に差をつけると聞くと、「新卒社員同士でがむしゃらに競わせたり、できの悪い社員の給与をカットする目的か」と思うかもしれない。だが、これらの企業が目的に掲げるのはあくまで「優秀な人材の確保」。特に人手不足で争奪戦が激しくなっているエンジニア市場で少しでも優位に立ちたいという狙いがある。

年棒で100万〜200万円差がつく場合も

 サイバーエージェントは2018年4月から入社するエンジニア職を対象に、それまで一律と定めていた新卒の初任給制度を廃止した。他の先輩社員と同様の、能力に応じた給与体系に変更する。

 同社では年功序列制度を採っておらず、従業員の能力に応じた等級に当てはめて給与を決めている。例えば下から3番目の「S3」だと、上司から指示された仕事を十分にこなせる1人前のエンジニアとしてのスキルが求められる。入社すぐのエンジニアはすべて「S1」だが、すぐに能力や経験に応じた人事評価がなされ、人によっては1年のうちに等級が何度も上がったりする。こうして初任給の年棒に差がつく仕組みという。

 同社の新卒エンジニア職の最低年棒は450万円だ。執行役員で技術政策室長の長瀬慶重さんによると「新入社員によっては年棒で100万〜200万円の差がついている場合もある」。ただ、働き始めて間もなく実績も乏しいはずの新入社員の能力をどのように評価するのか。

 現在、サイバーエージェントでは内定者の半数程度が同社のインターンシップを経験している。「1〜2カ月の就業型インターンを経験してもらう中で、学生のエンジニアとしての技術力やコミュニケーション能力を社員が見極める」(長瀬さん)。この時の評価が入社後の人事査定に大きく影響する。

 実際に入社した新卒社員からの反応は上々のようだ。江頭宏亮さん(26)は芝浦工業大学大学院の修士課程を卒業後、18年4月にエンジニアとしてサイバーエージェントに入社した。同社の一律初任給の廃止制度を最初に経験する世代に当たる。

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