サイバーエージェントにDMMも 大手ITが新卒の一律初任給を止める理由:激変の新卒採用サバイバル(3/3 ページ)
企業による新卒の一律初任給廃止が広がっている。サイバーエージェントやDMMなどが導入。能力に応じた金額を提示して優秀なエンジニアを呼び込むためだ。
メルカリでは新卒全員が対象
そこで今回の採用では、学生の構築したサイトや自分で書いたコードをアップできるプラットフォーム「GitHub」に彼らが投稿した作品などを見てエンジニアとしての実力を判断した。内定を決めた学生には具体的な金額を提示してオファーをかけた。「明らかに飛びぬけている学生には社員と同じレベルの給与を出すようにしている。エンジニアの技術力は仕事をすればすぐ分かるもので、(入社後に)整合性が取れなくなったら調整もする。新卒社員の間でもめることはないと思う」(林さん)。
一律初任給の撤廃は現在、技術力が測定しやすいエンジニアに限定している企業が主流だが、新卒全員に適用した企業もある。メルカリは18年4月以降に入社する新卒向けの新たな給与・人事制度「メルグラッズ」を導入した。エンジニアやデザイナーだけでなくプロデューサー職も対象となる。
実は同社では年功序列だけでなく、給与の等級制度も設けていない。給与はあくまで市場での適正な水準と本人の能力や成果を照らし合わせて決めている。新卒を評価するに当たっては、やはり自社や他社でのインターンシップ経験が大きいポイントという。
採用担当マネジャーの小山浩平さんは「入社直前まで学生は成長している可能性があるので、入社前に(内定をオファーする際に出した)金額の見直しすら行っている」と明かす。現状、特に新入社員から不満の声や問題は発生していないという。
一律の初任給を止める企業の施策は、新卒と先輩社員や中途入社組を分け隔てなく評価する流れにもつながる。今回はエンジニア中心に広がっているこの取り組みだが、一括採用の慣習などこれまで「新卒」を特別扱いしてきた日本の採用文化に与える影響は、決して小さくない。
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