「準備は順調、魅力的な価格にする」――楽天副社長、携帯事業の展望語る:KDDIとのローミングに手応え
楽天の山田善久副社長が、2018年1〜9月期の連結決算会見に登壇。携帯電話事業の開始準備の状況を説明した。基地局設置は当初の計画よりも前倒しで終える予定という。携帯料金は「魅力的な価格を提供したい」という。
楽天の山田善久副社長は11月8日、2018年1〜9月期の連結決算会見に登壇。19年10月に参入を控える、携帯電話事業の開始準備の状況を説明した。KDDIと通信網のローミング(相互接続)を行うことが決定したほか、自社での基地局設置も予想を上回るハイペースで進んでいるとし、「大きなステップを着実に一歩一歩進んでいる」(山田副社長、以下同)と自信を見せた。携帯料金については明言を避けたが、比較的安くなる可能性を示唆した。
基地局設置は前倒しで終了予定
当初の計画では、楽天は25年までに最大6000億円を調達して設備投資を進め、26年3月までに通信網の人口カバー率96%を目指すとしていた。だが、準備が順調に推移していることから、「投資額は6000億を下回る。通信網の配備も、当初の26年3月から前倒し予定だ」と手応えを話した。
現在は「全社を挙げて自社ネットワーク構築に取り組んでおり、数百人体制で早期配備に向けた取り組みを進めている」という。具体的には「ビルや土地のオーナーに連絡を取り、基地局建設の可否を打診・交渉している」とのことだ。
ローミングの提供を受ける一方、物流・決済分野のインフラを提供する――というKDDIとの提携は「多額の資金・労力が必要なインフラを共同で整備するため、お互いにメリットのあるものだ」としつつ、「自社のエリア網が整い次第、依存するエリアを縮小する」と説明した。
また、現在運営中のMVNO(仮想移動体通信事業者)「楽天モバイル」の実店舗数は358カ所に達したとし、「全都道府県に店舗を広げられており、携帯事業開始後は拠点として切り替えていく」と意欲を見せた。
提携するベンダーも明らかに
また会見では、楽天がこれまで詳細を伏せてきたネットワーク回りのベンダーの構成についても公表された。現時点では米Altiostar Networks、米Cisco Systems、米Ciena、米Netcracker Technology、フィンランドのNokia、インドのInnoeye Technologiesといった海外企業と、沖電気や富士通などの国内企業と手を組んでいるという。
山田副社長は「各社と綿密に連携して(自社での通信網の)準備を進める」とした。
携帯料金は安くなる?
8月末に菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」と発言して以降、既存の携帯電話事業者(キャリア)は料金を値下げする動きを本格化している。
NTTドコモは、端末代金と通信料金を別々に支払う「分離モデル」の導入を軸に検討しており、19年第1四半期までに料金プランを2〜4割値下げする計画。詳細は未定だが、ソフトバンクも値下げに踏み切る方針だ。
ただ楽天と提携するKDDIは、「分離モデル」に該当する「auピタットプラン」「auフラットプラン」を昨夏から始めていることから、「値下げはすでに終えた」(高橋誠社長)との考えから値下げを否定している。
こうした経緯を踏まえつつ、山田副社長は料金について「『他社がどうだから』というのではなく、ユーザー視点で魅力的な価格を提供したい。期待されていると思うので、それに応えられるような価格戦略でいきたい」と説明。
報道陣からはMVNOと同程度の低価格になるのか――との質問が出たが、山田副社長は「最終決定していなので何も言えないが、魅力的な価格にする」と強調。詳細については濁しつつも、比較的安い料金を展開する可能性を示唆した。
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