まるでアイドルのコンサート? QBハウスの競技会がすごかった:報道陣に初公開(3/5 ページ)
QBハウスを運営するQBネットHDが全国の店長会とカットコンテストを報道陣に初公開した。コンテストはまるでアイドルのコンサート並に盛り上がりを見せたが、なぜ同社はこのタイミングで公開したのだろうか。
なぜカットコンテストを公開したのか
これまで店長会とカットコンテストは非公開のイベントだったが、今回から初めてプレス向けに公開された。なぜだろうか。
19年2月より、QBハウスはカット料金を1080円(税込、以下同)から1200円に値上げすることが決まっている(65歳以上のシニアは平日1100円)。値上げによる経営へのダメージを最小限に抑えるために、従業員が確かな技術を備えていることをアピールする狙いがあるとみられる。
値上げを控え、同社では「顧客満足度向上プロジェクト」に取り組んでいる。これは、お客の「再来店意思」や「満足度」などを数値化し、サービス向上に役立てようという取り組みだ。同社の調査によると「QBハウスに払ってもよいと考える金額」と「満足度」の間には相関関係がある。満足度を高めれば、「1200円払ってもよい」とお客に判断してもらえるというわけだ。
10分でどんな価値を提供するのか。
では、どんなサービスを提供すれば、お客の満足度は上がると同社は考えているのだろうか。北野泰男社長は講演でいくつか興味深い分析結果を示したが、その一例を紹介しよう。
QBハウスを比較的多く利用するお客のタイプは次の3つに絞られる。
1つ目は「つまづきたくないタイプ」。このお客は、「ここって、10分カットのお店でしょ。全てにおいてスムーズな対応をしてほしいんだけど」と考えている。
2つ目は「こだわりタイプ」。「(自分には)こだわりがある。そのこだわりを聞き出してほしいし、理解してほしいんだよね」と考えている。
3つ目は「人懐こいタイプ」。「10分という時間を楽しく過ごしたい。自分のことを(スタイリストに)無視してほしくない。会話に同調してほしいな」と考えている。
つまり、「1000円カット」といえど、対人サービスと従業員の技能にもお客は一定以上の水準を期待しているのだ。北野社長は、講演で何度も客離れと値上げの影響について触れることで、従業員の奮起を促そうとしていると見受けられた。
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