ゴーン会長の役員報酬、他の企業と比べてどれだけ高いのか データでみる:東証1部上場企業の中央値と比較
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が、報酬を過少申告していた疑いなどで逮捕された。だが開示されている分だけでも、同氏は過去9年間で累計約90億900万円を得ていた。この金額は、国内上場企業とどれくらいの差があるのか。
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された。ゴーン会長は報酬の過少申告に加え、私的な目的での投資資金・社内経費の流用も行っていたとされる。日産は過少申告額について明言を避けたが、一部では2011年3月期から5年間にわたり、計50億円を申告していなかったと報じられている。
ゴーン会長は9年連続で毎年約8〜10億円を得ていた
ただ過少申告されていたとはいえ、これまで開示されてきたゴーン会長の報酬額はかなりの高額だ。東京商工リサーチの集計によると、1億円以上の報酬を得ている上場企業の役員に報酬額の開示義務が発生した10年3月期以降、ゴーン会長は9年連続で毎年約8〜10億円、累計約90億900万円を得ていた(仏Renaultからの支給分は除く)。
内訳は日産が87億8200万円、16年から会長を兼任する三菱自動車が2億2700万円。年度別にみると、10年3月期(8億9100万円)、11年3月期(9億8200万円)、13年3月期(9億8800万円)は、上場企業の中でトップの報酬を得ていた。
ゴーン会長に対し、ネット上では「もともとの報酬が高すぎるのに、なぜ不正をしたのか」「金の亡者ではないか」と批判する声が挙がっている。では同氏の報酬は、他の国内上場企業の役員が得ている報酬と、どの程度の差があるのだろうか。
会長職の中央値は「5976万円」
デロイト トーマツ コンサルティングが東証1部上場企業431社の役員報酬額を調査した結果、会長職の年額報酬の中央値は5976万円で、ゴーン会長の約13〜18分の1だった。他の役位の中央値は、社長が5552万円、副社長が4829万円、専務取締役が3843万円、常務取締役が3120万円という結果だった。
売上高が1兆円以上の43社に限定した場合でも、会長職の年額報酬の中央値は9600万円で、ゴーン会長の約8〜10分の1だった。他の役位の中央値は、社長が9855万円、副社長が6302万円、専務取締役が5820万円、常務取締役が4280万円という結果だった。
日産の報酬額はゴーン会長が事実上決めていたとの見方が強いが、調査によると、他市場への上場企業も含む647社のうち219社(34%)が、役員報酬額を客観的に算定する「報酬委員会」を設置していた。
ただ同委員会の設置企業の55%が「年に1〜2回しか開かれてない」と回答。デロイト トーマツ コンサルティングは「形式的な議論にとどまっている可能性がある」とし、客観性・透明性のある報酬制度設計の必要性を指摘している。
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