外国人労働者受け入れ法案が招く、本当の姿:どんな事態が起きるのか(2/3 ページ)
政府与党と維新の会の賛成で衆院可決し、法の成立が固まった出入国管理法(入管法)改正案。日本の将来像に重大な影響を与える法案ですが、移民が始まるとどんな事態が起こり得るのでしょうか。現実的な想像をしてみたいと思います。
(2)トリクルダウンって、どーなった?
アベノミクスの柱である、庶民より先に経営者や富裕層のメリット享受先行の結果、アベノミクスの成果の報酬はいずれ国民に等しく行き届くというのがトリクルダウン論でした。しかしアベノミクス成功と喧伝される割に、それって実現できているのでしょうか? 経済数値のことではなく、実態の話です。
外国人労働者を増やすという法律ができれば、人手不足で倒産も起きてしまう企業環境は改善できるかもしれません。しかしいわゆるブラック労働的な、労働者搾取の上に利益を得ている企業にとって、人手不足は強力なストッパーになり得た可能性があります。しかし外国人労働者で新たな人材ソーシングが行われれば、その生存を助けることになります。
単純な話で、今のままでは低賃金重労働のブラックな労働環境から日本人労働者が逃げ出すことで、環境改善メカニズムが働こうとしていたのに、新たに大量の外国人労働者が供給されるのですから、ブラックな環境は生き残ることができるのではないでしょうか。
安倍首相は国会答弁では、「日本人の賃金水準と『同じ』レベルを維持したい」と言っています。これはすなわち今のままでは日本人の働き手が逃げ出すので、賃上げ圧力が高まるところだったのに、新たな外国人が「今までの」日本人給与レベルでいくらでも働いてくれるのですから、賃上げの必要性は薄くなります。トリクルダウンは永遠に起こらないと考えるほうが自然ではないでしょうか。
(3)外国人との摩擦の実態
外国人と共生できるかどうかは、そもそものグローバル化の中で、われわれ日本人は考えなければならない課題です。ただそれは外国人=犯罪者とか、テロや騒じょう予備軍という偏見を持つことではありません。
むしろ日本語能力に乏しく、日本の習俗理解の乏しい外国人との間で、コミュニケーションの不全が原因で意思疎通や生活上のトラブルが起きる可能性が最も高いと考えられます。
例えば宗教心が薄い人が多くを占める日本では、仕事中にお祈りをしたり、宗教上の禁忌な食べ物があることなど考えられません。しかし特定の宗教において、お祈りをしないとか禁忌を犯すことは犯罪的な行為だったりします。
宗教知識がないがゆえに「俺の酒が飲めないのか」とトラブルになったり、禁忌な食材を用いたりダシを取った名物料理や郷土料理を食べられないことを侮辱に感じる日本人はいないでしょうか? 宗教上の協議を、日本語能力が乏しい外国人が明確に説明し、説得できるでしょうか? ただ単に感情の行き違いが増殖し、結果として外国人はゲットーのような分離生活をしてしまう社会が出現する可能性は低くないと思います。
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