ゴーン事件を「西川の乱」だと感じてしまう、これだけの理由:スピン経済の歩き方(7/7 ページ)
カルロス・ゴーン前会長の逮捕で、日本中に衝撃が走った。有価証券報告書で役員報酬の一部を少なく記載した容疑で逮捕されたわけだが、この事件について、筆者の窪田氏は「西川の乱」ではないかと見ている。その理由は……。
「最悪のシナリオ」に陥っているのか
そして、あくまで筆者の実体験だが、「変わることができない経営者」は、「ものづくり企業」に多い。彼らは自分たちで生産管理をして、自分たちの品質に絶対に自信を持って、それが世に受け入れられるはずだ、という「プロダクトアウト」の発想が強い。そのため、外の世界から、社会からどう見られるのかという視点がごそっと欠落していることが多いのだ。
こういう企業のトップは危機に真摯(しんし)に向き合わず、危機をコントロールできると慢心して、自分の都合を優先する傾向が強い。つまり、危機を組織内での権力闘争やガバナンスなど、どうでもいいことに利用するのだ。このような「内ゲバ」がまん延する組織が、遅かれ早かれ崩壊するのは言うまでもない。
これまでの危機管理を見る限り、今の日産もそんな「最悪のシナリオ」に陥っているように見えてしまう。これが筆者の単なる思い過ごし、あるいは「妄想」であることを心から祈りたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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