“アナログ返り”が起きている 大盛り上がりの「文具女子博」で感じた業界の熱:“デジタル化の波”なんのその(1/3 ページ)
文房具の展示即売会「文具女子博」(12月14日〜16日)がスタート。各社の展示ブースは女性客でにぎわいっており、会計だけで3時間待ちの状態に。“デジタル化の波”が押し寄せているが、業界はまだまだ盛り上がる――と感じさせられた。
東京流通センター(東京都大田区)で12月14日〜16日に、文房具の展示即売会「文具女子博」が開かれている。2017年に続き2度目の開催で、計123社がペンやノート、シールなど約5万点の商品を販売している。前回は3日間で計約2万5000人を動員したが、今回も客入りは好調。「前年比2倍の約5万人を動員する計画で、初日は想定通りに推移している」(主催する日本出版販売の広報担当者)という。
その言葉通り、会場内は、歩いているだけで肩がぶつかるほど混み合っていた。主催側は「男性も可」とうたっているが、イベント名の通り、来場者はほとんど女性。女性の2人連れは「『ロルバーン』のノートや『ぺんてる』のかわいいペンがほしくて来た」「仕事のモチベーションが上がるので、お気に入りの文房具を使いたい」と訪れた理由を話してくれた。
文具業界は停滞している?
ただ、気になるのは文房具業界の市場動向だ。矢野経済研究所が18年1月に発表した調査によると、16年度の国内文具・事務用品市場の規模は前年度比横ばいの4692億円。筆記具の伸びに落ち着きがみられるほか、デジタル化の動きに押されて紙製品・事務用品が縮小しているため、市場の拡大には至っていないという。
だが会場を取材すると、こうした状況下でも伸びを見せている商品や、業界を盛り上げるための各社の工夫が見えてきた。
マスキングテープでノートをカスタマイズ
多くの企業がブースで販売しており、女性客がこぞって手に取っていたアイテムが「マスキングテープ」だ。本来はペンキなどの塗装を行う際に、汚れを防ぐ目的で使われてきたテープだが、昨今は色鮮やかなデザインが登場。友人・恋人などにプレゼントを送る際のラッピングなどで使われてきた。
出展社の中でも、特に若い女性客でにぎわっていたのは、文具の製造・卸売業者のマークス(東京都世田谷区)。同社は12月頭に発売したばかりという、水性インクでメッセージを書き込めるマスキングテープなどを展示している。この商品はラッピングだけでなく、システム手帳をかわいくデコレーションする需要が高いという。
マークスの担当者は「ペーパーレス化の時代といわれているが、マスキングテープとシステム手帳の分野はまだまだ元気。特に女性に、仕事用のスケジューラーや手帳とは別に『自分だけのノート』を持ちたいという人が増えている。かわいくカスタマイズして日記を書いたり、ダイエットなど自分磨きの記録を付けたり、勉強に使ったりする人は多い。マスキングテープは、表紙のデコレーションや中身を目立たせる目的などに使われている」と説明する。
また「技術が進歩し、書き心地のよいものが増えている」(マークスの担当者)ことから、筆記具の人気も健在だという。「いまはパステルカラーのファンシーなペンがトレンド。システム手帳などのノート、マスキングテープと一緒に“3種持ち”する女性が多い」(同)としている。
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