仕事中に「マジ切れ」する日本人が増えている、ちょっと意外な理由:怒りを抑えるメンタル術(1/3 ページ)
一般社団法人 日本アンガ―マネジメント協会の安藤俊介理事長によると、現代の日本では仕事中にイライラするビジネスパーソンが増えているという。その理由と、怒りを抑えるための技術を聞いた。イライラを防ぐコツは「他者との違いを受け入れる」ことだという。
「同僚の仕事ぶりが気に食わない、上司が理不尽だ、部下が生意気だといった理由で、仕事中にイライラするビジネスパーソンが増えている」――。日本アンガ―マネジメント協会の安藤俊介理事長はこう指摘する。
同協会は、怒りの感情と上手に付き合うための技術「アンガ―マネジメント」を取り入れた企業研修などを展開している。安藤氏はその第一人者として、組織内で不要な衝突を生まない感情コントロールの手法を広める活動を行ってきた。
その中で安藤氏は、現代のビジネス界は「自分の思い通りに物事が進まない時に、それを受け入れることができず、感情的になってしまう人が多い」ことに気付いたそうだ。
ブチ切れる上司、言い返す部下
例えば部下がミスをした時に、理論的に注意をしたり、再発防止策を講じたりするのではなく、つい“切れて”しまう上司は多い。怒る際は「なめているのか」「なぜ仕事ができないのか」「何度言えばできるのか」といった刺激的な言葉を使いがちだ。
そのため、怒られた部下が納得できずに言い訳や反論に転じ、言い合いに発展したり、ショックを受けた部下がメンタル不調に陥ったりと、さらなる問題につながってしまう。注意をした上司がパワハラを行ったと認定され、処罰や退職を余儀なくされたり、部下が会社をやめてしまったりするケースもあるという。
日本のビジネスパーソンは、なぜこれほどまでに“イラつきがち”なのだろうか。
イラつくビジネスパーソンが増えている、ちょっと意外な理由
安藤氏によると、その要因は(1)政府がダイバーシティーを推進している影響で、多様なバックグラウンドや価値観を持つ人材が企業に加わっていること、(2)1つの会社に長く勤める文化が崩れ、人材が流動的になったこと、(3)日本人が歴史的に異質な存在に弱いこと――の3点だという。
「かつての日本企業は人材が均質で、育った環境や学歴などが比較的似ている社員が同じ職場に集まっていた。現在はそうではなく、違った国や環境、文化で生まれ育ち、異なる価値観を持った人々が同じ組織に在籍することが普通になっている。そのため、議論をしてもかみ合わず、『隣に座っている人の考えが理解できない』という怒りにつながりやすい」と安藤氏は分析する。
人材が流動的になった影響については、「1つの会社に数十年間勤め上げてきた上司が『今の会社は腰掛けで、3年たったら転職したい』と考えている新卒の面倒を見るケースが出てきた」といい、「(長期的な視点からアドバイスをしても響かないなど)価値観の違いからお互いにイライラを感じてしまうようだ」とみている。
歴史的な面については、「島国であり単一民族である日本は、古くから『和を以て貴しとなす』文化であり、(集団の中で)異質な存在に弱い。現代も根本は同じで、『いろんな人がいていい』という意識を持った人が少なく、(仕事ぶりや性格が)変わっている人は反感を持たれやすい」と解説する。
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