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「専業主婦バッシング」が、日本社会のブラック化につながってしまう理由スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

朝の情報番組『スッキリ』で、MCの加藤浩次さんが「専業主婦であることに罪悪感なんて持たなくてもいい」とコメントしたところ、ちょっとした騒動に。労働者不足や働く女性が増えたこともあって、専業主婦に対するバッシングが厳しくなっているが、筆者の窪田氏はこうした風潮に違和感を覚えるという。どういうことかというと……。

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おじさんたちの活用を考えるのが筋

 外国人にしろ、女性にしろ、環境整備されて「働きやすい社会」になれば、黙っていても勝手に働いてくれるに決まっている。それなのに口を開けば「活用だ」「生かしきれていない」など、ゲームの駒や便利アイテム扱いではないか。

 というよりも、そんなに「人材の活用」を騒ぐのなら、まずは現状の社会システムの中で、生かしきれていないおじさんたちの活用を考えるのが筋ではないか。

 意味なく長い会議、ハンコ文化、IT全盛のこの時代に領収書をペタパタ貼る経費精算、社内の人間関係を考慮したどうでもいい根回し、定期異動、年功序列、終身雇用……など人材活用を阻む「ムダ」が山のようにある。

 こういうものを生産性向上のために徹底的に見直して、「何の仕事をしているのか、よく分らないおじさん」の能力を活用できた後に、それでも人手が足りないのなら、「じゃあ次は外国人ね」「女性にももっと活躍してもらいますか」となるなら分かる。

 が、今の政策は現行の社会システムをほぼ変えないまま、むしろその社会システムを維持するために、外国人や女性につらいブラック労働をお願います、と言っているのと同じだ。虫が良すぎるにもほどがある。

 専業主婦の皆さんに、「もっと社会で活躍すべきだ」なんて偉そうにお説教をする前に、まずは社会に出ているにもかかわらず、活躍していないおじさんたちの我が身を振り返るべきではないのか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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