「南青山の児相反対派」をボコボコに叩く、そんな風潮がよくない理由:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
南青山の児童相談所建設をめぐって、議論が紛糾している。「児相ができれば青山ブランドが棄損する」といった反対派に対して、「口撃」する人が多いように感じるが、こうした風潮はどうなのか。筆者の窪田氏は、よろしくないと主張していて……。
日本中の子どもたちがクリスマスを楽しみに待ち焦がれていた最中、子どもたちがガッカリするような残念なトラブルが起きてしまった。
東京の一等地で生活するオトナたちが、虐待を受けるなど問題を抱えた子どもに対して、お前らが地域にやって来ると、治安悪化や土地の価値低下が引き起こされ、「青山」というブランドが大きく毀損(きそん)される――などと間接的にディスりだしたのである。
ご存じ、港区南青山の一時保護所を併設した児童相談所建設計画をめぐる反対派住民の主張だが、彼らの子どもに対する「口撃」はこれにとどまらない。
「このあたりのランチは1600円くらいする」「入所した子が青山の幸せな家族や着飾った人を見て、自分とのギャップを感じるのでは」などと「チョー上から目線」のロジックを展開。「不幸な子どもは、不幸で貧しい人間の多い街で暮らしとけ」とでも言わんばかりの勢いで完全に「地域に害をもたらす疫病神」扱いなのだ。
他人を派手にディスれば、その罵声がブーメランのように自らに返ってくる、というのは説明の必要はあるまい。
「差別主義者」「選民思想」など世間から叩かれ、「地元の不動産屋が糸を引いているのでは」なんて真犯人探しがスタート。有名人もこぞって「口撃」している。
お笑い芸人のカンニング竹山さんは情報番組で「ものすごく危険な思想」とバッサリやって、ネット民から「正論だ」と拍手喝采された。また、オセロの松嶋さんはその逆で、「児相が来たら引っ越してしまうかも」と反対派住民の心情に一定の理解を示すようなコメントをしたため「炎上」した。
個人的には、このような批判が出るのは致し方ないし、竹山さんのご指摘もそのとおりだと思う。が、その一方で、反対派住民や松嶋さんらをボコボコに叩いて留飲を下げる今の風潮はあまりよろしくない気がしている。
かばっているわけではなく、我々すべての日本人への「ブーメラン」になるからだ。
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