「ひかり」を再評価、ロマンスカーの心地よさ…… 2018年に乗ったイチオシ列車と、2019年期待の鉄道:杉山淳一の「週刊鉄道経済」新春特別編(2/6 ページ)
2018年も全国各地の列車に乗った。観光列車には「つくる手間」をかけることの価値を感じ、新幹線では「ひかり」の良さをあらためて実感、新型の特急列車には期待感を持った。19年も乗りたい列車がめじろ押し。どんな発見があるだろうか。
一方、残念に感じた列車は「現美新幹線」だ。JR東日本が新幹線の余剰車両を使って仕立てた観光列車である。6両編成のうち4両は客室の座席を取り払い、車両ごとに現代美術を展示、ソファを置いた。1両はカフェカー。あと1両は普通座席も取り込んだ内装が芸術作品になっている。外観デザインを写真家の蜷川実花さんが担当したことでも話題になった。
これがビックリするほど集客できていない。運行区間が越後湯沢〜新潟で、上越新幹線の中でも乗客が少ない。東京〜新潟間の利用客に越後湯沢で乗り換えて楽しんでもらいたいところだけど、わざわざ直通列車から降りるほどの吸引力がないらしい。
販売施策にも苦戦が表れており、当初は全車指定席、一般発売は座席車のみで、芸術展示車両は旅行商品(ツアー扱い)だった。しかし1カ月後には立ち席も特急券販売で一般開放され、程なくソファがある展示車両全てが自由席扱いになった。いま、日本で最もくつろげる新幹線自由席である。
カフェカーのコーヒーやケーキもおいしいし、現代美術の空間は楽しい。しかし運行区間とマッチしていない。これが上越新幹線ではなく、北陸新幹線だったら、金沢21世紀美術館へ行く人にも訴求できただろうと思う。しかしこの車両は秋田新幹線の中古車両だから、交流電源周波数が変動する北陸新幹線には入れない。せめて大宮始発で定期運行すれば、「とき」の補完役として機能するし、スキー客の若い人にもウケると思うのだが。
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