ダイナースが生き残るために、何をすればいいのか:クラブだったはず(3/4 ページ)
ダイナースはクレジットカード会社ではない。クラブだったはずだ。ダイナースが生き残るためには、どうすればいいのか。社会的信用のある限られたメンバーだけの上質のプレミアムクラブとなるような事業再認識が必要ではないか。
例えば、シャーロック・ホームズの兄、マイクロフトは、硬い会計監査院官吏で、「ディオゲネス(人間嫌い)クラブ」の会員。このクラブの中では、口をきいてはいけない。静寂こそがモットー。他のクラブも似たり寄ったりで、とにかく騒がしい連中、度派手な連中が大嫌いだから、仕事以外の時間は、みなそこに逃げ込んで、同好の士と静かに過ごすのが楽しみ。
日本にも「学士会」(1886〜)なんていうのがあって、東大ないし旧帝大の卒業生だけの社交場となっている。最近の様子は知らないが、昔は四つ玉などという小難しいビリヤード台があり、工学出の御年配が器用にキューを操っていた。
また、「交詢社」(慶応系、1880〜)、「東京倶楽部」(鹿鳴館系、1884〜)、「日本倶楽部」(国会系、1897〜)なども、紳士(アッパーミドルクラス)の社交場の老舗。あまり表には出てこないが、財閥の管理職のための倶楽部も古くからあり、「住友倶楽部」(1904〜)、「三井倶楽部」(1908〜)、「三菱倶楽部」(1914〜)などが有名。
1960年にできた「日本ダイナースクラブ」も、もともとは芙蓉グループ(富士銀行系=戦前の安田・浅野・大倉など+戦後の森・日産など)の財閥系倶楽部としての色合いが強かった。しかし、2000年、世界のダイナースクラブがすべてまとめてシティバンク系に買収されてからおかしくなり、さらにシティバンク本体が傾くと、15年には放り出されてしまった。
それで、いまの日本のは三井住友信託銀行系の傘下となっている。つまり、人的組織を抱えている財閥系を中心とする、ステイタスのある福利厚生倶楽部だったのが、こうして金融系に買収され、オープンなただの成金向けのカード屋に成り下がってしまった。
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