東京と大阪の“抗争”が激化 今年も高級食パン戦争から目が離せない:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
2018年には高級食パン専門店が大ブレイクした。これまでは関西で生まれた専門店が続々と東京に“殴り込み”をかけていたが、東京勢がここにきて関西に進出しはじめた。19年の高級食パン戦争の行方はどうなるのだろうか。
2019年は東西入り乱れた戦国時代に
14年に大阪市の鶴橋で創業した「レブレッソ」は、しっとりふわふわした食パンとエスプレッソが売りの喫茶併設タイプの高級食パン専門店だ。大阪で飲食店併設を打ち出した先駆け的な存在といえるだろう。グランフロント大阪(大阪市)の商業施設に出店した後、18年7月には、東京1号店を武蔵小山(目黒区)にオープンしている。
16年10月、大阪市の阿波座で創業した「高匠」は、既に大阪市内に7店を展開している。東京初進出店は18年12月3日、JR神田駅(千代田区)の駅ナカにオープンしている。これは面白い展開で、これからJR東日本の駅ナカや駅ビルに続々と出店していく予感がする。
「嵜本(さきもと)」は17年11月、大阪市の難波で創業。チーズタルト専門店「パブロ」の新ブランドで、子どもが安心して食べられるように卵や乳を使用しないパンをつくりたいという思いで開発したという。大阪に4店を展開しているが、18年12月7日、東京初進出店として、喫茶併設の田園調布店(大田区)をオープンしている。
パブロでは既にショッピングセンターを開拓しているので、今後は商業施設で拡大していく可能性も十分である。
このように、高級食パンは俺のベーカリー、銀座に志かわといったように東京から大阪に進出していく新しい流れが出てきた一方で、大阪(兵庫を含む)からは一本堂、乃が美、Panya芦屋、点心、レブレッソ、高匠、嵜本と、東京への進出が加速している。
2019年の高級食パン市場は、特に東京と大阪で、東京勢と大阪勢が入り乱れる戦国時代に入ってくる模様。路面のみならず、駅ナカやショッピングセンターでも当たり前に見られるほど普及が進むのではないだろうか。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
関連記事
- 大阪勢が東京に“殴り込み” 過熱する高級食パン戦争
大阪でスタートした高級食パン専門店が東京に進出してきている。一方、東京でも高級食パン専門店が次々とオープンしている。過熱する高級食パン戦争の行方は? - ライバルと明暗 栄華を誇った「小僧寿し」だけが大きく苦戦した理由
かつて2300店超を誇った「小僧寿し」だが、近年は回転すしや持ち帰りすしチェーンの猛追で苦戦していた。同じ持ち帰りのチェーンが踏みとどまってるのになぜ小僧寿しだけ苦戦しているのか。 - すし屋「久兵衛」VS. ホテルオークラ 泥仕合の背後に“下剋上”への脅えと焦り
高級すし店「銀座 久兵衛」がホテルオークラともめている。背景にあるのは高級すし店とホテル業界の競争激化による地位低下だ。転落しようとしている両者が抱く焦りとは。 - 回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった
大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。 - 日清と激突? セブンの冷凍カップチャーハンが起こした“革命”と“カップご飯戦争”
セブン‐イレブンがカップに入った冷凍チャーハンと冷凍ピラフを発売して大きな反響を呼んでいる。同商品を生んだ背景にある冷凍チャーハンメーカー“3強”の存在と、日清が先行している“カップご飯”について考察してみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.