ごみの“迫力”でお酒が進む? 美術館みたいな「ごみ処理施設」で大人の社会見学:ガラス張りの“見せる”施設(4/4 ページ)
「ごみ処理の様子を見ながらお酒を飲む」というイベントが話題になっている。なぜお酒を飲むイベントなのか。ごみ処理施設でどんなものを見られるのか。開催初日に、東京都武蔵野市の武蔵野クリーンセンターを訪れた。
大人が「ごみ処理を知る」きっかけに
今回のイベント企画を担当した、武蔵野市環境部クリーンセンターの関彩奈さんは「ごみ処理施設についてよく知らない人にも来てもらって、お酒でほぐれた雰囲気の中でごみについて学んでもらいたい」と話す。子どものころにごみ処理について学んだことがあっても、大人になるとごみ処理施設まで足を運ぶ機会は少ない。「バー」というきっかけがあれば、あらためて見てみたいと思う人は多そうだ。
実際、今回のイベントは事前に話題になったこともあり、12月の回は定員(20人)の2倍以上の申し込みがあったという。武蔵野市以外に住む人の応募も多かった。
今回のイベントは「エコツーリズム」の実証実験として実施されているが、武蔵野クリーンセンターを軸にした試みは初めてではない。リサイクル品などを販売する「エコマルシェ」や、野菜を収穫して味わい、フードロスについて学ぶ親子イベントなどを、市内の事業者や団体と連携して実施している。今回のイベントでは、武蔵野市のクラフトビールや、規格外として廃棄される野菜などを使った料理の提供もあった。
イベント開催時だけでなく、普段から自由見学も受け付けている(平日の午前10時〜午後5時)。関さんは、「ごみを出す全ての人に処理について知ってもらいたい。気軽にふらっと立ち寄ってもらえる場所になれば」と、新しいクリーンセンターに期待する。
普段出しているごみがどうなっているのか、あまり考えたくないという人も多いだろう。だが、ごみは誰かが回収して、処理してくれている。クリーンセンターに親しみを持つ人が少しでも増えれば、ごみを減らすことや、ごみ出しのルールに対して意識を向ける人も増えるかもしれない。
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