もはや外国人頼み? 人手不足倒産、18年は過去最大に:最多はサービス業
東京商工リサーチが発表した2018年の「人手不足」関連倒産は、前年比22.0%増で過去最多を記録した。サービス業や建設業で特に人手不足は深刻となっている。
企業調査会社の東京商工リサーチが発表した2018年の「人手不足」関連倒産は、前年比22.0%増の387件と、13年の調査開始以来、最多記録を更新した。求人難や人件費高騰が影響した。
内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が278件(前年比11.6%増)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が59件(同68.5%増)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が24件(同33.3%増)、賃金など人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が26件(同73.3%増)だった。
産業別に見ると、サービス業他の106件(同39.4%増)がトップ。次いで建設業71件(同10.1%減)、卸売業63件(同61.5%増)、製造業63件(同50.0%増)、運輸業28件(同21.7%増)となった。
エリア別では、全国9地区のすべてで倒産が発生した。関東(170件)、九州(51件)、中部(45件)、近畿(36件)、東北(29件)、四国(15件)で前年を上回った一方、中国(20件)と北海道(17件)は減少した。北陸(4件)は同数だった。
深刻な人手不足に対し、政府は外国人労働者をもっと受け入れるべく「出入国管理法」を改正。19年4月に施行される同法では、介護や建設などの業種でも在留資格を設ける。しかし人手不足の早急な解消は難しく、人手不足関連倒産は今後も当面は増加すると東京商工リサーチは見ている。
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