GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?:消費者にとっては嬉しいが(1/4 ページ)
新天皇即位に伴う祝日などによって、今年のゴールデンウィークは10連休となることが決定した。日本経済にとってこれはどのような影響を及ぼすのだろうか。試算してみた。
新天皇が即位する2019年5月1日、即位礼正殿の儀が行われる19年10月22日を休日とする法律が成立した。これらの休日は国民の祝日扱いとなるため、4月30日と5月2日も休日となり、今年のゴールデンウィーク(GW)は10連休となることが決定した。
10連休によって、病院、銀行、役所などの長期閉鎖による市民生活の機能不全、日給や時間給で働く非正規労働者の収入減などの弊害が指摘される一方、旅行、宿泊、外食産業を中心に景気の押し上げ効果も期待されている。
しかし、休日が増えることは必ずしも景気にプラス効果をもたらすとは限らない。例えば、製造業では工場の稼働日数が減ることで生産量が抑制される可能性があるだろう。
本レポートでは、祝日の増減と経済データの関係を統計的にみることにより、10連休が景気に及ぼす影響を検証する。
季節調整モデルから祝日要因を抽出する
経済データの変動要因は、(1)趨勢循環変動、(2)季節変動、(3)不規則変動、に分けて考えることが一般的である。
経済データの原系列Ytとし、趨勢循環変動をTCt、季節変動をSt、不規則変動をItとすると、変動成分の結合の仕方が乗法型の場合、Yt=TCt×St×Itで表される(※1)。
このうち、季節変動について詳しく見ると、天候や気温などの自然条件による変動、社会的制度・慣習(GW、クリスマス、盆暮れ、企業の決算期など)による変動のほか、曜日、祝日、うるう年要因を考える必要がある。
例えば、月に土日(平日)、祝日が何日あるかによって、企業の月間売上高や生産量は変動する可能性が高く、その影響の大きさは業種によっても違いがあるだろう。また、うるう年の2月は他の年よりも日数が多いため、その分売り上げが増える業種が多いことが想定される。
一般的に、景気の基調判断に用いられる季節調整値は、原系列から季節変動要因を除去したものであり、TCt×Itとなる。季節性によって売上高や生産量が多くなる月の季節指数(St)は1を上回り、季節調整値が原系列よりも小さくなる。季節調整値を用いれば、季節性を除いた同一条件で異なる月との比較が可能となる。
経済産業省の「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」、「全産業活動指数」(※2)の季節調整済指数は、季節変動要因を季節、曜日、祝日、うるう年要因に分解しており、季節調整済指数=原指数÷総合季節指数(季節・曜日・祝日・うるう年指数)となる。
ただし、総合季節指数のうち、季節要因は全ての指数で調整されているが、曜日、祝日、うるう年要因については、業種によって調整されているものと調整されていないものがある。
※1 加法型の場合、Yt=TCt+St+Itとなる。
※2 現時点では、鉱工業指数は2015年基準、第3次産業活動指数、全産業活動指数は2010年基準となっている。
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